細胞分裂はどう起こるのか。

細胞というのは分裂することによって増えます。これによって生物というのは増殖したり、その体を大きくする・損傷した部分を補うわけです。
生殖細胞や受精卵の細胞分裂は、その他の細胞と仕組みが異なるため今回は割愛することにします。話のメインはそれを踏まえての……ミトコンドリアの話ですから。


さて、細胞分裂の話をするといっても染色体が分かれるところから話をしていくと大変な量になってしまいますね。そもそもDNAやRNAといった核酸と染色体の違いも話していませんし、それらの配列がどのような機構によって起こるのかなんてことを話していたら読んでる人が途中で匙を投げてしまうと思います(苦笑) 今回は分裂のとても初歩的な話をしてそれでおしまいにしようかと。それで流れは十分わかるはずですし。

細胞は分裂の準備が整うと、細胞膜がくびれるようにして二つに分かれます(植物細胞の場合は強固な細胞壁があるためにその様子が観察しにくいですが)。ここまでは中学や高校で教わっていて、教科書などにも図があるかと思います。
では? この細胞のくびれってどうやって起こるのでしょう?
つまりこの動きを起こす力が働かないと、細胞膜はくびれてくれないわけです。まさか細胞膜に神秘的な意思があってそれによって動くなんてことはないでしょうしね。この点を高校生物などではきちんと教えてくれていません。なのでここの説明をしましょうということです。

実は細胞分裂が起こる際には、膜の内側にアクチンリングというのが張り付きます。アクチンについては生物をやっていたら覚えているかと。筋肉の収縮に関わるアクチンフィラメントとミオシンフィラメントのあれです。
アクチンはタンパク質の一種で、ひとつだけだと球状のものになります。これが数珠のように繋がって、アクチンフィラメントやアクチンリングというのになります。これが形状変化することによって収縮運動を起こすのですが――まあ、この内部機構まで触れると色々と化学物質について触れないといけないので割愛します。というかこういう細胞内で動くタンパク質ってたくさんあって、それらに関してはまだまだ研究されていたりしますw 今は大分理論先行ですかね、実際に動くところを観察できたとかは今年ニュースになったりしてました。

さてこのアクチンリングによる細胞分裂ですが、重要なのは細胞膜の『内側に』張り付くということです。これが意味するのは次のようなことです。
I. 細胞の分裂は、その細胞の外側から強制的に起こるわけではない。
II. 分裂の際につくられるアクチンリングのアクチンは、その細胞自身の核からの指令によってつくられる。
どういうことかというと。これまで細胞の分裂というのは脳とかあるいは別の器官から「今分裂をして成長しろ」と強制的に分裂させられる可能性があった。したがって脳が体の成長すべてを支配しているかもしれないと考えられたわけです。もしそういうことになれば極端な話、『背が伸びろー』とか『胸が大きくなれーー』と思い込めばその通りになったかもしれないというわけです。
しかしながら細胞の分裂はその細胞自身の判断に委ねられているということがわかったのです。ただし細胞はそこまで自己中ではないので(笑)、きちんと周りの細胞のこととかも考えます。これに関しては以前contact inhibitionについて説明したときに触れました( contact inhibitionについて)。ただしガン細胞のようにこれを無視したりするものもあります。
ま、ようは細胞の分裂はあくまで細胞自身の判断によりますよということです。


さてはて。ここからミトコンドリアの話に移りましょう。
ミトコンドリアも前回の記事で述べたようにきちんとした一個の細胞、そして生物です。あくまで細胞内に共生しているというだけ。となるとこっちも自分勝手に増殖することができるかもしれない。――この仮定のもとで創作されたのが『パラサイト・イヴ』です。
で、実際このアクチンリングの発見によってわかったことは。
   ミトコンドリアの場合にはアクチンリングは細胞膜の『外側』に張り付く。
ということでした。つまり通常の細胞とは違うということです。通常の細胞は自分の判断で分裂をしました。ところがミトコンドリアの場合は『自分の判断で行なうわけではない』のです。そのアクチンは宿主細胞の核からの指令によってつくりだされることがわかりました。したがって――
   ミトコンドリアの分裂は宿主細胞によって支配されているということです。
つまり細胞共生説にあるように細胞内にミトコンドリアが入ったとき、実はミトコンドリア内の分裂に関わる核酸が宿主の方に奪われていたというわけですw
したがって『パラサイト・イヴ』のような怖い事態はまず起こらないということが現在はわかったわけです。

ま、かといってここに色々な想像を入れる余地がなくなったわけではなくw たとえば宿主細胞とミトコンドリアを擬人化して、その両者の間でどのような闘争があったのかとかを描くことは可能だったりするわけですw まあ『パラサイト・イヴ』を越えるためにはそれなりの生物学の知識が必要になってくるわけですけどねー。



ということで今回はこの辺りで。次回は『パラサイト・イヴ』の話をしようと思います。瀬名秀明原作の小説とスクウェア(現、スクウェア・エニックス)によるスピンアウト作品ですね。これはーー、分けたほうがいいのかしら? 結構入り組んでるし、(よく誤解されているのですが)ストーリーはまったくの別物だし。
ま、ある程度まで書き進めてみて再度練り直ししようかと思っていますです。
…………『3rd birthday』の発売日が近いorz
Commented by zattoukoneko at 2010-12-03 21:32
記事の内容と関係ないのですが(というかタイミングを逸した……)。
チュアブルソフト様で新作『Sweet Robin Girl』の開発が進んでおり、今日バナーキャンペーンが始まりました。
普段だったら記事内で簡単な紹介をつけつつやるのですが、今は特集やってしまってますからねー。後で改めてやろうと思います。

なおちゃっかりバナーは右のところに貼り付けていたり?
by zattoukoneko | 2010-12-03 21:31 | 生物・医療 | Comments(1)