今回は細胞の構造基礎

今回は細胞の基本的な話をしたいと思います。内容は高校の生物レベルくらいで、重要なポイントに絞っていく感じで。

まずは細胞の図を見せてしまうのがいいと思います。人間のような真核生物の細胞を今回はメインで扱いますね?
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この図は見やすいように色がついてますが、実際にはそれぞれの部位にはほとんど色がついていません。植物細胞だと葉緑体があって、これは緑色をしているので判別できますが、それ以外はうっすらとした影程度ですね。
以前細胞膜の話を記事にしたことがあります(ウイルスの基本構造 )。ここで重要なこととして細胞膜はリン脂質二重層という仕組みを持っているということでした。今回は細胞内小器官を見ていきます。
まず大体中心に核があります。核は核膜に覆われています。
他には小胞体。これは図ではとても省略されていますが、細胞内のほぼすべてを埋め尽くすほどです。またゴルジ体というのは小胞体と連携しているものです。それぞれの働きは次の通り。まず核内にあるDNAからmRNA(メッセンジャーRNA)というものがつくられます。mRNAは核膜にところどころ開いた核膜孔というものを抜けて外へ。これが小胞体(の中でもリボソームの埋め込まれた粗面小胞体)にくっつき、そこに記録されているものを読み解かれます。と同時にタンパク質が合成され小胞体内部へ。タンパク質鎖が一通り出来上がると小胞体内で折りたたまれてタンパク質となります。これが小胞体からゴルジ体に移されながら硫黄化される。完成したタンパク質が細胞内で使われるものである場合はそこから細胞内に放出され、細胞膜上・あるいは細胞の外に出て離れた他の部位に作用する場合にはリソソーム(図ではライソソームとなっていますが)に包まれて運搬。細胞膜にくっつくことでリソソームが開かれ、細胞膜上なり細胞外へとタンパク質が提供されます。
――と、ここで小胞体から細胞膜までがスムーズに動いている気がするかと思いますが、実はリボソーム以外は(核膜も含め)すべてリン脂質二重層できており、つまり化学物質としてはまったく同じなのです。なので簡単にくっつくことができるのです。(なおリボソームはタンパク質とRNAの集合体です。まるで細胞膜にタンパク質が埋め込まれているみたいですよね、粗面小胞体というのは)

さて次にミトコンドリアというのを見てみましょう(今回は動物細胞なので葉緑体はありませんが、図表などで確認してもらうと次の説明がそのまま当てはまるのがわかるかと思います)。
ミトコンドリアには二枚の膜がありますね。外膜と内膜と言いますが、これはどっちもリン脂質二重層の膜でできています(あ、生物嫌いになる人の多くがここで混乱するのですが。膜一枚にリン脂質が二重になっているということであって。「合計すると四枚になる」とか「リン脂質二重層だから二枚」とか思わないでくださいね?)。
実はミトコンドリアには核とは別に核酸をもっていることがわかっています。そしてこの二重膜という構造の示すところは、昔宿主となる細胞に「別の生物が入ってきた」ということ。つまりミトコンドリアや葉緑体は人などの真核細胞を宿とし、そこに共生しているものだということです。

葉緑体は有名で光合成を行う器官です。光エネルギーを吸収し糖を二酸化炭素から合成。デンプンとして蓄えます。
ミトコンドリアは逆にエネルギー(正確にはエネルギーの通貨と呼ばれるATP)を生成します。さらにはミトコンドリアの役目に、アポトーシスを引き起こすというものが。これは細胞を壊死させるということ。胎児の手は最初の頃は両生類のように水かきがあったのが、それがなくなるのはミトコンドリアの力によるとされています。


さて予告で『パラサイト・イヴ』の話をすると述べていましたが、この物語はミトコンドリアは「共生」しているのではなく「寄生」しているのだという考えによるものです。その記事の中で詳細は述べますが、当時これを否定することはできなかった。したがってフィクションでありながらとても現実味があったのです。そう考えるととてつもないホラー小説ですね、実際にいつ起こってもおかしくない話なので。


と、今回はこのくらいで。まずは簡単な高校の生物基礎で留めておこうかと思います。次回は印象的な順番を考えますが、「細胞分裂の詳しい仕組み」か「『パラサイト・イヴ』の紹介」のどちらかとなります。
てなわけでまた今度~。
――ちなみに。高校生物の難しさなめるなー? 今回のは基礎中の基礎だから受験生はここ読んでわかった気になったらダメだぞー。(まあ時期が時期なので念のための注意)
by zattoukoneko | 2010-11-25 20:16 | 生物・医療 | Comments(0)