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チュアブル新作『Sugar+Spice2』バナーキャンペーン

チュアブルソフト様の新作のバナーキャンペーンが始まりました。
当然のことながら応援でございます!
タイトルは『Sugar+Spice2』で、以前発売された『Sugar+Spice!』の数年後のお話となっています。

さて、私は以前チュアブルソフト紹介と特集を組んでいます。
そしてこのメーカーの期待値について明確に記しておきました。
『恋文ロマンチカ』の紹介にあたって、「くしくもここが四つ目で、結に相当する」と冒頭で述べてますが、その後のまとめをしっかり読んでくださった方にはすでにわかっているはず。


    あそこで「結び」になるはずがない!!


このメーカーさんはまだ伸びますよ。次は更なるステップを踏みます。
そしてちなみにHPなどですでにこのことは確認済み。私が保証しておきましょう。
一応次に何のステップを踏むのかはある程度まで予想済みですが、いくつかの点ですでにそれを超えてきています。また私の予想は「順当に行けば次はこれになるだろう」というもので、一応ゲームの紹介ページでそれも確認していますが、それはあくまで“予想”。これとは別のものを提示してくる可能性もあります。が、それはそれで私は楽しみです。もうここまでで悪くなることはありえないということは確信していますので。

さてまだチュアブルソフトさんを追いかけるのは間に合いますよ。今からでもさくさくファンになっていくべし!

以下、リンクバナーです。
好きになったら告白しよう Sugar+Spice2好きになったら告白しよう Sugar+Spice2好きになったら告白しよう Sugar+Spice2好きになったら告白しよう Sugar+Spice2


なお、今作は『Sugar+Spice!』の数年後のお話ですが、一応新作という形らしいです。
ただ前のキャラも出てくるようですし、『Sugar+Spice!』もやっておくといいかもしれないです(というか歴代の全作品を私は見てきて欲しいですが!)。
そして実はチュアブルさんから『Sugar+Spice!』と『Sugar+Spice!Party☆Party』を合わせて、廉価版にした『Sugar+Spice! ファーストシーズンパック』というものが5月の28日に発売されます。
こちらは当時の初回限定分などに入っていた特典などはついていませんが、値段がお得ですし、そもそも両作品とも(喜ばしいことに)ロットアップとなっています。
特典のために限定版を探すのもいいと思いますし、値段や時期などを考えて『ファーストシーズンパック』の方を購入するのもいいと思います。その辺りはみなさんがどこまでチュアブルソフトというメーカーを追いかける気になるかによって決めてくれればよいかと。

チュアブルソフト様に対する私の評価はカテゴリの中から「ゲーム」をクリックすれば先頭の方に出てきます。まだ知らない方はそちらをご覧になって、とりあえず私の言葉に耳を傾けてみてはいかがでしょう?
by zattoukoneko | 2010-04-30 20:23 | ゲーム | Comments(6)

チュアブルソフト紹介最終回②

さてチュアブルソフトさんを紹介するにあたって私は今まで、「チュアブルソフトさんの概要」、「各作品、『Pure×Cure』、『あまなつ』、『Sugar+Spice!』、『恋文ロマンチカ』の紹介」とやってきました。
ですがこれはすべてチュアブルさん「だけ」しか見てこなかったものです(多少他のところの話も触れてはいますが、でもそれも本当に少しだけでした)。
「チュアブルソフトとは何者か」ということを考えたとき、その見方だけでは偏ったものになります。ゲームソフトメーカー、あるいは物語製作者のすべてを見た上で、その中のどこにチュアブルソフトが位置するのかを見て、ようやくその価値がわかるというものです。
ただしすべての文学・ゲームの歴史や現状については触れることができません。私自身にそこまでの知識がありませんし、また現在大手のメーカーさんとして活動しているところでは明かせない内部事情もあります(私が知っていてもあまり大っぴらにできないことがあるのです)。それに何より数が大きすぎます。
ですので今回は日本におけるゲームや主にライトノベルの歴史を簡単に見ることしかできないと思います。それぞれについての詳細は後々書くかもしれません。
なお、ライトノベルも一般の文学も、そしてゲームも全部影響を与えあっているものです。かなり複雑な過程を経てきており、これまた全部を説明することはできません。今回はできるだけわかりやすく記述したもので、あえて誤りや抜けを含んでいる部分もあります。その辺りはご容赦ください。


さて日本には純文学とエンターテインメント小説というものがあります。これは世界的に見て奇妙なものです。純文学は文章の語りや人間の心情にこだわったもの、エンターテインメント小説はともかく読者を楽しませ、驚かせるものと考えられています。現在は芥川賞が純文学の新人に贈られるもの、直木賞がエンターテインメント小説の新人に贈られるものと区別されています。
しかしこれは奇妙な話です。純文学は人を感動させるような話は無視していいのでしょうか? あるいはエンターテインメント小説は文章をおざなりにしていいのでしょうか?
少し考えてみましょう。芥川龍之介は純文学の人間でしょうか? エンターテインメント小説の人間でしょうか? どちらかというと後者に入れられるような気がします。
また川端康成なんてのはどちらですか? ノーベル賞を受賞した彼はその日本の風情を表す文章や物語に大きな評価をもらいました。が、彼は物語の構成(「行きて帰る物語」や「喪失とその回復」)もきちんと遵守した人間でもあります。そして話も実際に面白いのです。
もっと昔までいってみましょうか? 夏目漱石は純文学ですか? エンターテインメント小説ですか? 『こころ』なんてのはタイトルの通り人の心に深く踏み込んだもので、書いてある文章の約半分が主人公の遺書だったりします。かと思えば『吾輩は猫である』なんてのは猫の視点から描くという当時としては斬新なエンターテインメント小説でした。
このように考えると純文学とエンターテインメント小説という区別は奇妙な気がしてきます。

さてもう少し文学の話です。ちょっとミステリーの方に偏ります。
京極夏彦は1994年に講談社に大量の原稿枚数におよぶ作品を持ちこみ、『姑獲鳥の夏』でデビューします。また彼のような既存の応募要項に当てはまらない作品群を募集するためメフィスト賞が設立されることとなりました。このため京極夏彦は「第0回メフィスト賞受賞者」などと呼ばれることがあります。
京極夏彦のこのデビュー作によって「新本格ミステリー」という分野が確固としたものとなったと考えることができます(それ以前から新本格の波はありましたが)。
新本格とは簡単に言ってしまえば謎ときに力を入れたものです。新本格以前はミステリーの謎とき・トリックはほとんど固定してしまっていました。火曜サスペンス劇場なんてのを考えてみればいいと思います。登場人物が変わるだけでトリックは大したものではありません。ただちょっと既存のものに手を加えただけの、消費されるだけのものでした。それも仕方ないかもしれません。トリックなんてそうそう思いつくものではないですから。だからキャラクターに個性を持たせるくらいしかできなかったと思われます。
ですが新本格は昔のように謎ときに力を入れました。新しい知見や著者の考えを導入することによって非常に読者を驚かせるトリックをつくってみせたのです。
また京極夏彦で顕著ですが、トリックだけにこだわったというわけではありません。彼の作品を実際に読んでもらえればわかりますが、そのキャラクターは非常に個性的で魅力的です。この点は新本格以前のキャラ偏重のものを取り込んだとも考えられますし、むしろライトノベルに近い節すらあります。『姑獲鳥の夏』の登場キャラは超能力なんて持ってますし、京極堂は陰陽師です。ミステリーでありながらファンタジーの要素も持っています。
ただキャラクターに魅力を持たせ、かつトリックも大事にした作品は新しいものではありません。「新」本格という言葉がそもそも間違っている気がします。江戸川乱歩なんてのはそのキャラクターにとても魅力を持たせていましたし、またコナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』や『アルセーヌ・ルパン』だってキャラクターに人気が出たのではないでしょうか?(実際ホームズvsルパンの本が企画されたことがありますが、どちらかが勝つと片方を負けさしたことになり、引き分けにすればどちらかに愛着を持っている読者からは「そんなはずはない!」という反発を買うことが予想されたため、この案はなくなりました) このように考えるとミステリーはそもそもキャラクターをとても重視していた文学作品群でした。新本格はそれの復興を行い、そして現代風に大きく改定したものと考えられます。

さて京極夏彦よりは少し後ですが1994年に上遠野浩平が『ブギーポップは笑わない』で第4回電撃ゲーム大賞大賞でデビュー、1996年に乙一が『夏と花火と私の死体』でジャンプノンフィクション小説大賞大賞でデビューしました。いずれもライトノベルレーベルですが、この二人は文壇に大きな波紋を呼びました。特に上遠野浩平の登場はそれまでのライトノベルでは富士見ファンタジア文庫が優勢だったのを、一気に電撃文庫を主流にするくらいの衝撃がありました。
彼らは(京極夏彦と同じく)様々なジャンルを掛け合わせたような作品を世に送り出しました。一見するとミステリー。でも『ブギーポップシリーズ』には超能力のようなものがあってファンタジーでもあり、SFの要素も含んでいました。乙一もミステリーが主体でありながら、どこかそれだけでは括れないものを含有していました。
京極夏彦によって設立が決まったメフィスト賞ではこうした三人の影響を受けた人物がかなり受賞していきます(メフィスト賞だけではないですが)。こうしたいくつものジャンルを内包し、既存のものに当てはめられないものを講談社では新伝綺(俗にファウスト系)として次世代を担うものとして売り出そうとしています。奈須きのこや西尾維新、竜騎士07なんかはこれに含められたりします。
ただ京極夏彦や上遠野浩平、乙一は個人のテーマを打ち出そうとしていたように感じられます。特に上遠野浩平はあとがきなんかを見れば一目ですね。それがそれ以降の作家たちには残念ながら受け継がれなかったようです。ただ読者を驚かせることに特化し、テーマがおざなりになってしまいました。もちろんそれはそれで面白いです。でもエンターテインメント小説に逆戻りしてしまった感があります。京極夏彦や上遠野浩平、乙一は純文学ともいっていいほど表現に力を注ぎ、純文学とエンターテインメント小説の融合が果たされようとしたのに、です。これはいささか残念なところです。

さて、上の純文学とエンターテインメント小説の話とも関係ありますが、ライトノベルの歴史を見てみましょう。
日本には元々ジュブナイルという分野ができそうになり、そして消えてしまった歴史があります(これは「バック・トゥ・ザ・フューチャーのテーマ」の記事内で触れました)。日本では児童文学と大人向けの一般小説しかなくなってしまいました。その間を埋める役割を果たしていたのがジュブナイルだったのですが。
そうした背景のもとライトノベル(当時は挿絵などが入っていたことからマンガ小説などと呼ばれてました)が生まれてきます。
この発生とその後の経過はかなり複雑なので、以下は相当単純化して描いていきます。
まず角川スニーカー文庫がこの分野を確立していきました。と同時に富士見ファンタジアの方で水野良らによってアメリカなどではやっていたTRPG(このときはDungeons and Dragons)を日本に紹介する試みがなされました。TRPGは『指輪物語』の影響を大きく受けてできました。つまりファンタジーが主軸ということ。このTRPGを実際にプレイしているところを記事にしていくという形で『ロードス島戦記』は始まります。そしてこれが人気を博していきます(ただしTRPGの形式から通常の小説へと移行します)。したがってこれによってライトノベルという分野ではファンタジーが主流となったというわけです。
ただまだまだ『ロードス島戦記』は昔ながらの固いファンタジーでした。これらが深沢美潮の『フォーチュンクエスト』などによってキャラクターが印象的で、若い読者にも馴染みやすいものになっていきます。特に『フォーチュンクエスト』の主人公たちは普通の中高生たちとさほど変わらない、つまり特殊な能力なんて持たない人間でした。タイトルにあるとおり、運でクエストをクリアしていくわけです。
こうした流れを受けて1989年に第1回富士見ファンタジア小説大賞で神坂一が『スレイヤーズ!』で準入選し、その後シリーズ化されるや爆発的なヒットをします。神坂一の各キャラは現実世界にはありえないほど飛びぬけていて、それでいて親しみの覚えるものとなっていました。この影響力は大きく、以降ライトノベル=キャラクター小説となったほどです。またキャラ造形はどんどんと深められ、(前々から生まれつつはありましたが)「燃え」という日本特有の新しいキャラクターへの愛着が誕生していきます。今では「萌え」と表記されるものです。
「萌え」の誕生は文学の世界において良い面と悪い面を生みました。
良い面とはそれまでキャラクターは心理学のような難しい背景知識や実体験からつくりあげられてきました。しかし「萌え」は心理学の性格を単純化・記号化します(たとえばツンデレなど。元々心理学ではきちんと分類されていた性格の一つです)。また眼鏡や制服、ツインテールといったような「萌え属性」という細かいカテゴリもつくっていき、それらを組み合わせるだけで簡単にキャラクター造形ができるようになりました。「萌え属性」は(万人受けではないですが)受け手に単純に魅力を伝えることができるため、人気も取りやすくなりました。
悪い面は「萌え」に偏りすぎたことです。小説においてキャラクターは大事だということは神坂一によって明確に示されました。しかし大分前に『闇の運命を背負うもの』を紹介したときに書いたように、神坂一はテーマもとても大事にしていました。同時期にライトノベルの地位をかっこたるものとしたあかほりさとるなんかも同様です。表面的には明るい文章、キャラクターですが、その背後のテーマはかなり重厚でした。ですがそれをきちんと受け継ぐ作家陣はほとんど出てきませんでした。書き手ですらそれですから読み手も同じです。ただキャラに魅力があれば売れるという状態を招いてしまいます。(またライトノベルが隆盛を迎えたことで、出版社は人材確保のため同人の世界から多くの人間をプロにします。ですが彼らはせいぜいキャラしかつくれないような人ばかり。あっという間にライトノベル界は揺らぎます)
ここに出てきたのが上遠野浩平でした。彼は(キャラも尊重しながらも)いかに物語をきちんと描くことが大事かを示します。だからこそ揺らいでいたライトノベル界は電撃文庫によって主流をとられるわけです(が、まだまだ「萌え」の悪い影響は残っていますが)。


「萌え」の概念を大きく導入したのは小説界だけではありませんでした。ゲームソフトの製作者、同人で活動する者たちに広く受け入れられました。何せつくりやすいですから。そして特段物語に興味のない人たちにはそれで満足だったわけですから。
そして同人からアダルトゲームメーカーとしてプロの商業界に出ていく人たちがたくさん出てきました。現在のアダルトゲームメーカーの乱立している状況はこれが理由です。当然のことながら彼らの多くには力がありません。せいぜい性描写をいれて、萌えを入れて、それで買ってくれる人に小規模に活動していくだけで(自己)満足していたというわけです。当たり前のように彼らは任天堂やセガ、スクエニといった大手に敵うわけもありません。エニックスは元々アダルトゲームを製作していましたが、『ドラゴンクエスト』などによってきちんと大きな会社へと成長します。この当時に今のようなアダルトゲームメーカーが出てくれば即刻潰れたことでしょう。けれど運が良かったのか悪かったか、出来損ないでも構わないと思ってしまう人たちがすでにたくさん出てきてしまっていました。それは大きな市場であり、「アキバ系」というおかしな世界をつくってしまいました。「アキバ系」は一般の目からもまた内部の人間からも外の世界とは別物とされてしまいました。そしてそれが当たり前のように思われています。確かにマンガやゲームはサブカルチャーですが、「アキバ系」はその中のさらにサブカルチャー(どころか差別対象)に貶められています。――自覚を持っている人は少ないのでしょうけれど。
ですが本来であれば同じ物語、ゲームの製作者として大手の企業と競争すべきであり、そしてそうすることでもっと飛躍できるはずなのです。


ではチュアブルソフトさんは上のような社会的背景を踏まえたうえでどのような立ち位置にいるのでしょう?
チュアブルさんは「Medicine」をつくろうというきちんとした独自性、テーマを抱えています。またキャラクターの造形に相当な力を入れており、「萌え」を利用しつつもそれだけに流されない魅力ある、自然な人物像を描いています。物語の構成も抜群です。これらは新伝綺やただ驚かせればいいと考えているエンターテインメントに特化したものとは違っています。
また細かなところに配慮するなど大手のゲームメーカーとも競合できるような見どころをたくさん抱えています(まだ人材や資金などの物理的規模の差が大きすぎるのでその差は大きいですが)。『Sugar+Spice!』ではゲーム性も大きく向上させてきました。
チュアブルソフトさんは今はアダルトゲームメーカーで、対象にしている市場も一般のゲーム会社のものとは異なっています(市場に関しては社会が二分されているのだから仕方がないです)。今後チュアブルさんがどのような方向を目指すかはわかりません。アダルトゲームメーカーから脱して大手ソフトメーカーと戦い始めるかもしれませんし、ADV以外のものに挑戦するかもしれません。あるいは今の路線のままで育っていくかもしれません。(今すぐ大手と戦うのは厳しいでしょうが)どちらの道を選んだとしても大きく発展する可能性を秘めたメーカーであると見ることができるかと思います。


さてはて以上がチュアブルソフトさんの現在の立ち位置かと思います。今後どうなるのかというのは非常に興味深いところがあります。(そして私はそう思ったからこそ前々から応援しているという次第です)
チュアブルさんは現在新作の製作に取りかかっています。『Sugar+Spice2』だそうです。キャラは違っていますが、タイトルからすると『Sugar+Spice!』のシステムにかなり近くなるのか、あるいはその発展形をつくるんでしょうか? 物語構成は『恋文ロマンチカ』で大分完成しましたが、その上を提示してくれるんでしょうか?
いずれにせよ今後の動向が楽しみなメーカーさんだと言えると思われます。
チュアブルソフト公式WEB
by zattoukoneko | 2010-03-14 12:12 | ゲーム | Comments(7)

チュアブルソフト紹介最終回①

今月の半分を使ってチュアブルソフトさんのことについて書いてきました。今回はそのまとめを行いたいと思います。
ちょっと振り返ってみると最初にチュアブルソフトさんについて触れました。そして各作品の紹介、『Pure×Cure』、『あまなつ』、『Sugar+Spice!』、『恋文ロマンチカ』と四つの記事に分けてみてきました。
それぞれの記事は独立のものとして読めるものとして書いたつもりです。と同時に繋がりのあるものとしても記述しました。それは「チュアブルソフト」というものがどういう歩みをしてきたのかをそこから見えるのではないかと考えたからです。
今日upするチュアブルソフトさんの紹介、最終回は、それを整理するためのものと、そしてチュアブルソフトさんをあらゆる文学やゲームの中のどういう位置づけであるかということを考えてみるという意味合いがあります。そのためあえてその二点について記事を分割しました。
今回、私ちょっと本気で書きたいと思います(別に今まで手を抜いてきたというわけではないですが、頭の回転具合がそれなりに違うという意味です)。かなり難しめになるかもしれませんが、お付き合いいただけると幸いです。


さてチュアブルさんの過去作品を見てくる中で多くのものがわかってきました。変わらずあるもの、そして変わったところ。それをまとめていきましょう。

まずチュアブルさんの送る作品は『Medicine for your mind.』を強く意識したものだということ。これは設立当初から現在に至るまで変わらなかったことです。
「Medicine」であるためそのストーリーは受け手にすんなりと受け入れられやすいものとなっており、そして心を揺さぶってその感受性を喚起するものとなっています。現代社会のように頭で、理屈で、物事を考える割合が多くなっているところに、心や感情の大事さを思い出させてくれる、人間としての大事なものを思い出せてくれる、だから私たちはチュアブルさんの作品で癒されるのです。
そのような作品であるためストーリーの展開はとてつもなく突拍子のないものを描くことはありません。これはまとめのもう一つの記事で書きますが、現在日本(いや、かなりの先進国)の多くの物語がいかに読者を驚かせるかに偏ってきています。そして受け手もそれに慣れつつある。しかしオーソドックスなストーリーでもそれをきちんと深く、鮮やかに描くことで人を感動することはできます。むしろその方が人の自然な感情を揺さぶってくれるようにも私は思います(たとえばお笑いでもベタなものでも使い方やリズムによって、すごくこだわってつくられたものより笑えるはずです)。
確かに展開も受け手にまったく予想もつかないものになって、それでも「Medicine」となるのならそれに越したことはないでしょう。しかしそれはとても難しいもの。チュアブルさんはどちらかしか選べないとしたら「Medicine」であることを選択するでしょう。また私自身がそうであってほしいと思います。それがチュアブルソフトとしての個性なのですから。

物語の構成については各作品紹介で毎度見てきました。
チュアブルさんは
①主人公は序盤で何かを喪失する(あるいはしている)。
②主人公に課題が提示される(チュアブルさんでは主に恋愛)。
③主人公が課題に取り組むとともに、喪失していたものに目を向けることになる。
④課題を克服する。と共に、喪失していたものを取り戻したり、代わりのもので埋め合わせる。
という物語の基本構造をしっかりと守っています。
特に『あまなつ』以降では主人公の喪失が過去とも深く結びついていて厚みを増す傾向にあります。
さらに一番新しい作品である『恋文ロマンチカ』ではこの喪失の克服(上の④)がこれまでの作品のなかで一番明確に描かれました。つまりこの四作目にして上記の構造を完璧なものにしたと考えることができます。
後々ジブリ、宮崎駿監督作品についての記事を書く予定でいますが、彼も上の構造と大分近いものを使用しています。が、彼もこれをきちんと扱えるようになったのは『もののけ姫』かあるいは『千と千尋の神隠し』からで、『ハウルの動く城』で確実に意図して使ってみせました。つまり日本を代表するようなクリエーターである宮崎駿ですらこの構造を扱いきれていなかったということです。(村上春樹は『ねじまきクロニクル』でようやくって感じでしょうか?) ですからチュアブルさんが特別これを習得するのが遅かったということではありません。むしろそれを意識して使おうとしていたという点で他の作家よりもかなり進んだ立ち位置から始まったと言えるかと思います。

さて構造については先の節で述べたとおりですが、それを守れば良い作品ができるわけではありません。宮崎駿もおそらく一人ではここまで世間に受け入れられることはなかったでしょう。彼の作品を彩る絵や音楽が彼の世界観を見事にひきたてているのです。
チュアブルさんはぎん太さんというとても透明感のある、そして雰囲気を見事に描き出す原画家を抱えました。また音楽の面でも主にけんせいさんが担当し、素晴らしい楽曲を提供しています。これらがなければストーリーを統括する草壁よしおさんもその物語を活かすことはできなかったことでしょう。
それと『恋文ロマンチカ』の記事で述べたように、チュアブルさんはキャラクターの心情を深く掘り下げ、それによって物語を展開していっています。この点に関しては私がこれまでに紹介してきた、『スレイヤーズシリーズ』著者神坂一、『クレヨン王国』著者福永令三、『ブギーポップシリーズ』著者上遠野浩平、『FINAL FANTASYシリーズ』や『キングダムハーツシリーズ』のSUQARE ENIXさん、あるいは今後取り上げるつもりでいるジブリの宮崎駿、『夏と花火と私の死体』などの著者乙一、『京極堂シリーズ』著者京極夏彦、そのどれよりも優れています。(ただしこれはチュアブルさんが物語の奇抜さよりもキャラクターの心情に重きを置いているからと考えることができ、他の作家が劣っているということを私は意味していません)

ここからはゲームとしての側面に主に焦点を当てていきます。

チュアブルさんはADVを中心に制作しています(まあ製作者の人数からしてRPGなどはきつそうです)。
『Pure×Cure』や『あまなつ』はオーソドックスなADVで、選択肢などによるエンディングの変更などもほとんどありませんでした(各ヒロインへの個別ルートに入る選択肢はもちろん大きく作用しますが)。
これは第三作目の『Sugar+Spice!』で転換期を迎えます。ショートエピソードを自分で選ぶ形式をとることで『Sugar+Spice!』では「オトメカイセキ」を進めたりエピソードの回収というゲーム性が増しました。『恋文ロマンチカ』でも同じ形式が採用されており、「オトメカイセキ」はなくなったものの、エンディングが複数用意されるなどの工夫が見られます。
メインストーリーに割かれる割合が減った分、物語としては落ちてしまいましたが、ゲームとして考えるならば大きな前進です。(今後チュアブルさんはゲーム性も意識しつつ、物語をさらに深めていくことになるのでしょう)

また小物にこだわったり、画面の端々に細かい遊び心があるのも特徴です。
実は『FFIII』では各ゲーム会社が同じようにSQUAREさんのそうした遊び心を研究したという歴史があります。まだまだドット絵で画像の荒い中、それでもSQUAREさんはキャラの動きなどにこだわり、その動きのかわいさに各ソフト会社さんは度肝を抜かされました。また『FFV』キャラクターに喜怒哀楽の表情を取り入れましたし、『FFX』などではバックの植物が風になびいていたりします。また『FFVII』のスノーボードゲームのようにミニゲーム単体ですら一本のソフトとして販売できるのではないかというものも盛り込んでいます。
チュアブルさんは製作者の数や機材、資金の面でSQUARE ENIXさんのようなハイレベルなものまでは作れていません。が、細かいところにこそこだわりを持つべきだという姿勢は全く同じなのです。立ち絵や服装が豊富なのがもっともそれがわかる点でしょう(ストーリーを伝えるだけならあれだけの数はなくてもいいはずです)。


以上が大まかなまとめとなるでしょうか。
チュアブルさんはまだ規模として小さい会社です。ですがそのかしこに今後発展していくのではないかと予見できるものがあります。
今後どのような方向に向かっていくかはわかりません。エニックスさんのようにアダルトゲームメーカーからRPGなどを中心とした会社になるかもしれませんし、あくまでADVにこだわるかもしれません。会社の人数や機材も大手ゲームメーカーさんのように揃えてくるのかどうかはわかりません。この辺りはスタッフさんの意向によるでしょう。けれどもどのような道に進もうとも「チュアブルソフト」は確固たるブランドとなるだろうと私は思っています。
(まあ世の中世知辛いですから、いきなり人気がなくなるなんてこともあり得ますけど。特に小規模のメーカーさんは一作駄作を作ってしまえばそれだけで倒産だってしかねませんし)


さてまとめの①はこのくらいでおしまいにします。
続けて②を書いていきます。数時間後にはupすることでしょう。この記事よりもはるかに難しい内容にしますが、お付き合いいただけると幸いです。
チュアブルソフト公式WEB
by zattoukoneko | 2010-03-14 09:37 | ゲーム | Comments(0)

チュアブル4th『恋文ロマンチカ』紹介

今回はチュアブルさんの最も新しい作品、『恋文ロマンチカ』(以下恋ロマ)の紹介となります。
一番新しい作品、つまり今回で作品紹介はおしまいとなります。
しかし今までの記事を読んできてくださった方はすでにお気づきかと思います。私が伏線のようなものを張ってきたことに。
くしくもこれが四作目。まさに起承転結の結に相当することになります。私はこれまで書き渋ってきた、その伏線とやらを回収せねばなりません。そのため画像の利用は今回はこれまでよりは少なくなるかと思います。
(でも画像も見所ですから使わせていただきます。チュアブルさんから許可をいただきました。無断での転載はご遠慮ください。利用に関しては公式HPのサポートページから問い合わせをお願いします)


まあ、やるべきことはあるもの、まずは作品の紹介です。マナーですからね。
発売は昨年の2009年9月18日でした。DVDで一枚です。
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システムとしては「オトメカイセキ」がなくなったことを除けば基本的にssと同じです。代わりにアイテム(高感度を上げたり下げたりします)が追加されたことくらいでしょうか?
ユーザーから告白するシステムも同じですし、ショートエピソードを自分で選んでいくのも同じです。
メインヒロインは秋月桔梗(あきづきききょう)、ヴァージニア・O・パルトロー(愛称:ジニー)、閑鳥みつ(かんどりみつ)、仁見来香(ひとみらいか)、宵之道吟情(よいのみちぎんじょう)となります。
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立ち絵や服装は今回もとても豊富です。吟情が眼鏡をかけたりキセルを持ったりするので一番多いと思うのですが、これまで中央の子に立ち絵紹介はやってきてもらったので今回も桔梗にやってもらうことにします。なお、ネタバレを防ぐために服装はいくつかカットしてあります。
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……うーん立ち絵の紹介というよりは服装の紹介ですねえ。中央に桔梗一人、かつできるだけ別の背景で探したらこんな感じになっちゃいました。表情やポーズはたぶんこれに×3から4(照れや拡大なんかの差分も入れたらもっと?)したくらいあるんじゃないでしょうか。(なお一番最後の右下は立ち絵じゃないです。余白があったので入れてみました)


さて舞台は大正時代の東都という架空の町となります。前作までは現代が舞台だったわけですが、今回は歴史ものです。
主人公は弓削文人(ゆげふみと)という人物で、熊本から小説家になることを夢見て自信作を一本と多少のお金を持って上京してきます。が、彼は今までの作品の主人公と同様大事なものをなくしてしまいます。それはその持ってきた原稿です。都会に出てきた彼は右も左もわからず、そして有り金すべてを騙し取られます。そして雨に打たれ(当時の原稿は手書きで、インクも現代のものと違ってとても滲みやすいものでしたので)あっというまになくなってしまいます。
そんな彼はその直前に会っていた桔梗に助けてもらい、またその姉で作家である吟情に才覚を認められ、彼女ら二人のもとで書生として過ごすこととなります。
そんな彼は失ったものを取り戻すべく作家になるべく東都に残り、最終的にはその目的を果たすこととなります(バッドエンドは除きますが)。
ただし彼にはそのために課題を与えられることなります。
それは――
 恋をすること。
これはPVですぐに見ることができます。
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この画像はゲーム内におまけとして入っているOPムービーからとりました。OPやPVは公式HPやYouTube内の「チュアブルチャンネル」で観ることができます(これ『Pure×Cure』の記事のときに紹介しとくべきだったなあ)。
この課題は東都に来て「夏1」が終わると提示されます。つまりここが起から承へと変わってきた部分となります。

と、ここまで大筋をみてもらってわかると思いますが、構造として今までの作品で一番しっかりとしたものとなっています。また各ヒロイン(今回は一部サブキャラも攻略可能)すべてにおいて主人公の喪失したものに関して何らかの解決が施されています。これまでの作品では曖昧なまま終わってしまった感がありましたが、今回は明確に結論を導いているわけです。
またssではショートエピソードが多数入ってしまったため起承転結という基本構造がかなりくずれてしまいました。これは前回の記事で書いたとおりです。
しかし本作ではこの基本が確固たるものになっている。またショートストーリーの出来も格段に向上しています。特に話が連鎖するもの(前編・後編などに分かれていたり、条件を満たすと出てくるもの)に関しては秀逸です。
それとすでに見たエピソードはスキップできるように設定できるのですが、中にはそれができないものがあります。選択肢があるものと、そして条件によって内容が変わるものなんかです。次のが一例。(通常だとスキップは(c)Chuablesoftと入っているあたりにでてきます)
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ここでは桔梗と恋人になっているパターン、吟情と恋人になっているパターン、その他と恋人になっているor誰とも恋人になっていないの三パターンがあります(もしかしたら私が確認していないものもあるかもしれませんが)。こうした演出もとても面白いです。

さて主人公の失ったものも原稿だけではありません(自分の人生をかけた、命より大事かもしれないものをなくした上に、さらにその背後があります)。彼の実家はそれなりの名家であり、その後継ぎになることが決められていました。しかし彼は小説家になることを選びました。そして自分の書きあげたものを厳格な父に見せ、自分の道を認めてもらおうとしました。しかし彼の作品は一読されることもなく破り捨てられます。彼はその心をこめた作品を過去になくしており、そしてそのときの父の反応から自分はここに居続けては夢は叶えられないと考え、故郷を捨てます。つまり彼は過去の原稿、故郷、持ち込みの原稿という三つを喪失したことになります。『あまなつ』の紹介以降何度も述べていますが、このようにチュアブルさんは主人公の喪失に厚みを持たせてきています。そしてその喪失体験こそが主人公のアイデンティティの根幹をなしています。


上記のように今作では非常にストーリーの面で進歩しました。ssよりも格段に上質のものとなっています。
ですがチュアブルさんの話は奇をてらったものはまずありません。なぜなら「A medicine for your mind.」ですから。すなわち多くの人に飲み込みやすく、そして癒すものをつくろうとしています。そのため物語の中で起きる出来事はとてつもなく読者を驚かせるようなものが採用されることはまずありません。その結果「どこかで見たことがある?」と表面上は感じてしまうことがあります。実際模範的なエピソードを書くことがあります。特にショートエピソードでは。(ただしこれはチュアブルさんが複雑な話をかけないということを意味しません。実際TABLET時代の『茜の空に月をみる』はなかなかに難解でした。あえて受け入れられやすいものを、しかしそれを見事に扱って素晴らしい話に仕立てていると考えるのが妥当でしょう。ssの記憶喪失についての説得もそうでした)
たとえば上で言ったように主人公の弓削文人は秋月桔梗と宵之道吟情という美人姉妹のもとで居候することになります。この話、美少女ゲーム(に限らずヒロインと仲良くする男主人公が出てくる物語)ではとてもよく見る構図です。サクラ大戦なんかもいわばこの構図ですよね?
そのためこの表面しか見ない人にとっては退屈なものになってしまう可能性があります。「ああ、ありがちだね」って。
ですがチュアブルさんはそのよく使われる構図でも、いかにそこにいるキャラクターが何を考えそうなるにいたったのかをきちんと丁寧に、鮮やかに描いています。
桔梗の場合を見てみましょう。彼女は草履の鼻緒が突然切れて転んでしまったときにそこで主人公に助けてもらいます。そして全財産も大事な原稿すらもなくし雨の中で途方に暮れていた主人公に「お礼」をします。それが家に招くということでした。そこに吟情との縁も加わって居候として受け入れます。一方で主人公は命より大事な原稿をなくしました。そして彼は故郷にいては駄目だと思ったから単身東都にまででてきたわけです。彼にとっては帰郷してもう一度原稿を書き直し、お金をためてやってくるという選択肢はありえません。もしかしたら実家に帰ればもう東都に出てくることは叶わないかもしれません。それに作家になるという強い決意を持って出てきたのです。その彼の決意は揺るぐはずがないものです。ですから吟情の提案した「うちの居候になって東都にかじりつくか?」という選択肢にうなずくのです。キャラクターの心情がかなり作りこまれていると感じないでしょうか?
この記事ではまだまだ彼ら彼女らの心情に踏み込んで描けていませんが、それでも桔梗には一度告白しても振られるということは予想できるはずです(これは別に発売されている音楽CD『ソラノネ』で確認できるので一応ネタバレではないですよね?)。さらに桔梗と恋人になった場合――ここから先はかなりネタバレになってしまいます、ご容赦を――桔梗は作家としてではなく自分のことを偶然助けてくれた男性として主人公のことを愛していくことになります。もちろん小説家になることは応援してくれますが、それは隣で支えるという形をとります。一方で主人公の文人は居候ではだめだ、お嬢さん(桔梗のこと)にふさわしい人間にならなければならないとも考えます。これは当たり前の心理でしょう。稼ぎもなく、ただ家に厄介になっているだけの人間は男としてプライドに障るはずです。それに彼は作家になるために上京してきたのですから。したがってこの二人はすれ違うことになることはもうこの導入を見ただけで先読みすることができます。ですがそれは話が単純だからできてしまうものではなく、あまりに丁寧にキャラクターの心情が描かれているからできることです。
他にも「春1」の終了時ではジニーや吟情についてもかなりの部分まで先読みできるかと思います。そのくらい彼ら彼女らの心情は深く掘り下げて描かれており、(過去や経歴の部分も踏まえた)関係性は綿密に練られています。
ですがプレイする側にそこまで読みとる姿勢がなく、表面しか見てくれない場合、主人公などはただの軟弱な男に思えてしまうことでしょう。彼は上京早々有り金すべてを取られてしまいますし、周りにまだまだ振り回されっぱなしの人間ですから。でも彼には「筆」という確固たるものがあって、それを軸に動いている人間です。また様々な教養を持っている人物であり、それに基づいて動く人でもあります。
もちろん製作者側は見る側にすんなりと感情移入できるように努力するべきです。チュアブルさんは実際それをやっています(上記したように彼らの動きに説得力を持たせる努力を惜しみなくしています)。ですがすべての作品がすべての人間に受け入れられやすいものにするのはどんな作家でも無理というもの。特に今回は主人公が作家志望という特殊な設定です。物語を本気で書いたり、愛して読んだ人には彼の気持ちはとてもわかりやすいのですが、そうでない人にはすぐには感情移入できないかもしれません。そしてそこでキャラクターの心情に踏み込むのをあきらめてしまうと「ありがちな展開」、「軟弱な主人公」という印象しか持たなくなってしまいます。これは……残念です。

ここからは私個人の意見。書き手と読み手の中途半端な立場だからこそ思うことです。
作り手は受け手にすんなりと感情移入してもらい、物語世界の中に入ってもらうように心がけてつくるべきではあります。そしてあらゆる作家(中には手を抜いている人がいますが)がこれに苦心をしています。チュアブルさんも同じで、けしてこの点に妥協することはありません。
では受け手はどうすべきでしょう? 自分には感情移入できないから、とその作品を捨ててしまっていいものでしょうか?
私はそうは思わないのです。確かに中には読むに堪えないものをつくってくる作家もいます。私自身何度も何度もその作品の良いところを探そうとして、それでも投げ出した本が山のようにあります(タイトルは挙げませんが)。本と接することと人と接すつことは同じ気がします。たとえそこにいるキャラクターが自分の感性と合わないからといって駄作と判断して捨ててしまうのは、他人を表面的にしか知らずに捨ててしまうことと同じ気がします。気の合う仲間と一緒にいればそれはぬるま湯につかっているのと同じなので、
それは心地いいことでしょう。が、それ以外の社会に放り出されたらどうしましょう? 周りに自分の嫌いなタイプばかりの人間しかいない状況にされたらどう生きていきます?
まあこれは少々大袈裟でした。ですがせめて物語のキャラクターの心情を深く理解してあげよう、その一言の意味って何なの?、と探ってみることはできるのではないでしょうか。実在の人間と対面していると違って何度もそこを読み返せるのですから。それが受け手の感受性を広げてくれることになると思いますし、人としての器を大きくしてくれることでしょう。そして――チュアブルさんの作品はまさにそれをするに値する作品群を出してきていると私は思います。


さぁて、なんか説教っぽくなってしまいました。『恋ロマ』の具体的な話に戻っていきましょう。
今回大正時代が舞台なわけですが、それをつくるにあたってチュアブルさんはかなり綿密に取材・調査を行っています。ですから書かれている歴史的事実はかなり正確です。この取材力はチュアブルさんのとても優れたところです。これはチュアブル発足の前のTABLET時代から実はそうでした。
ただし――大正時代の何年を想定しているかにもよりますが――若干間違いと思しき箇所はあります。ですが私みたいにここ20年くらいに発表されてきた歴史の研究書や論文、もしくは当時の一次史料も見る人でないと多分わからないでしょう。またフィクションですので(特に服飾に関して)一部あえて現代風にしている箇所はあります。
(ちなみに間違いは『Pure×Cure』のときからあります。セイタカアワダチソウが花粉症の原因になる、とかですね。なので今回が特別調査不足というわけではないですし、むしろ相当やりこんでいます)
(あとついでに他の人気作品で例を出すと、『鋼の錬金術師』なんて間違いだらけです。そのうち錬金術の話は書く予定ですからそのときに判断してくれればいいと思いますが、製作者はそれなりに調査はしています。錬丹術とか、ね。でも錬丹術の影響が西洋に伝わらなければ化学は生まれなかったとか、錬金術では暗号のようなものを使って記述しているというのも今ではほぼ否定されています。他にも練成陣とか、それ科学が生まれるときに排斥されたものだろうという感じです。まあ間違いあげたらきりがないですね)
まあこういう間違いは司馬遼太郎のような独自の歴史観をつくるような作家でなければ見逃すべきでしょうね(ちなみに司馬遼太郎は定期的にトラックで一次史料を家に運ばせていたらしいです。……くっ、その金と史料を俺によこせ!)。
――ちなみにプレイヤーの中には『恋ロマ』に描かれている歴史的背景がわからない方も結構いたんでしょうか? 女性は元々下着を履く習慣がないとかは私は当たり前のように知ってましたけど……もしかして中には違和感を感じてしまった人もいた?

さて最後に。
チュアブルさんは声優の起用に関してとても時間と労力を費やしていると以前述べました。これに関しては今回の『恋ロマ』でどのくらいの時間をかけたのかをHP上で明示してくれています。
ちょっと全部は掲載できませんが、次が応募の人数や倍率、選考にかけた時間です。HPに載っていたものをコピペしてきました(画像だと重いし、見にくいので)。
***
■『恋文ロマンチカ』オーディション議事録■
【応募総数】388名
  [選出]6名(64.6倍)
【選考期間】12/17(水)~01/14(水)
  [累計]61.5時間
■女性キャラクター■
【応募総数】283名
  [個別]A-桔梗   …  117名
      B-ヴァージニア   …  104名
      C-みつ   … 105名
      D-来香 … 124名
      E-吟情 … 110名
  [選出]5名(56.6倍)
【選考時間】61.5時間
【1次選考】12/17(水)
      13:00~18:00(5時間00分)

      12/18(木)
      09:00~11:30(2時間30分)
      13:00~19:00(6時間00分)

      12/19(金)
      09:00~11:30(2時間30分)
      13:00~19:00(6時間00分)

      12/20(土)
      09:00~11:30(2時間30分)
      13:00~16:00(3時間00分)

  [推移]283→113名
【2次選考】12/20(土)
      17:00~18:00(1時間00分)

      12/22(月)
      09:00~18:00(9時間00分)

  [推移]113→49名
【3次選考】12/24(水)
      09:00~11:30(2時間30分)
      13:00~19:00(6時間00分)

      12/25(金)
      13:00~19:00(6時間00分)

  [推移]49→19名
【最終選考】2009/01/14(水)
      10:00~11:30(1時間30分)
      13:00~16:00(3時間00分)

  [推移]19→5名
■男性キャラクター■
【応募総数】105名
  [個別]F-良   …  105名
  [選出]1名(105倍)
【選考時間】32時間
【1次選考】12/17(水)
      13:00~18:00(5時間00分)

      12/18(木)
      09:00~11:30(2時間30分)
      13:00~19:00(6時間00分)

      12/19(金)
      09:00~11:30(2時間30分)
      13:00~19:00(6時間00分)

      12/20(土)
      09:00~11:30(2時間30分)
      13:00~16:00(3時間00分)

  [推移]105→31名
【2次選考】2009/01/9(金)
      13:00~17:00(4時間00分)

  [推移]31→2名
【最終選考】2009/01/14(水)
      16:00~16:30(30分)

  [推移]2→1名
  ***
相当な時間をかけていることと、声優さんたち自身がこぞってチュアブルさんに認めてもらいたいと多数の応募をしてきているのがわかります。これだけの数から相当な労力を費やして選び抜かれた声優さんですから、そりゃあキャラクターにぴったりくるってもんです。演技力も高いですしね(ちなみに私は遙南=ソフィア=キスカ=一沙がわかりませんでした……。みつは大分遙南に近かったのでわかりましたけど)。


さてはて今回で作品紹介は最後です。
しかし最初に述べたように、私は(それぞれ別個に見れることも意識しつつも)すべて連関したものとして書いたつもりです。理由はこれまでの作品を通してチュアブルソフトとはどういうところなのかを見たかったから、です。
次の記事で(もう読みが深い人には必要ないかもしれませんが)まとめをしてみます。チュアブルソフトとは一体何者なのかがこの半月の記事で多少なりとも読んでくれた方に伝わってくれていれば幸いです。
チュアブルソフト公式WEB
by zattoukoneko | 2010-03-13 01:35 | ゲーム | Comments(4)

チュアブル3rd『Sugar+Spice!』紹介

ようやく折り返しました。チュアブルソフトによる第3作目、『Sugar+Spice!』(以下ssと略記)の紹介です。
毎度のことですが画像はチュアブル様より利用の許可をいただいています。無断転載なんかしちゃダメですよー。(というかこの表記が許可の証でもあったりします)

さてまずは基本情報でしょうねえ。
発売は2007年の9月28日ですかね。ここからDVDになりました。パッケージの絵は次の感じ。
b0118096_1745852.jpg

で、注目すべきは小物です。そこかしこにお菓子やら何やらちりばめられています。これは各キャラをイメージしたもので、歌だったらロリポップ、夢路だったら折り紙の鶴、見たいな感じで決まってます。こういう細かいこだわりは見てるだけで楽しいですし、キャラの印象付けにもなっていて素晴らしいですよね。
で、ちょっと先走ってしまいましたがメインキャラの紹介。
今回は春瀬歌(はるせうた、あだ名:ハモ)、南条寺夢路(なんじょうじゆめじ、ジジ)、足利はねる(あしかがはねる、ピョン)、深山藍衣(みやまあい、ミャンマー)、早乙女司(さおとめつかさ、オトメ)の5名です。(各キャラきちんと制服が違うのでここも注目です!)
b0118096_178302.jpg

ちなみに上の画像で一部切れてる感じがするのはネタバレを防ぐために私が編集しました。(魅力が消されてる!、とか怒らないでくださいね? 私は普段キーボードばかりしか触ってないし、画像の編集なんて滅多にやらない素人ですから)
ついでにこの作品から(DVDに移行したから?)服装とか立ち絵とかやたらと多くなった気がします。数えてないから正確なところはわからないですけど。次に歌に代表してもらって何パターンか服装とか表情とか変えてもらいましょう。
b0118096_1795599.jpg

ちなみにこれはチュアブルさんがHP上で公開しているスピンアウトという機能を使わせてもらいました。これについては後述します。


さてはてssの見どころ(というかチュアブルさんの大きな転換)はシステム面です。ssでは次の3点が大きな特徴。
①好きになったら告白!システム
②個別エピソードの選択
③オトメカイセキ
です。

①について。
まず既存のADVと違って話をただ進めていくだけだと誰とも恋人にはなれません。自分から告白をしていき、そして……玉砕するわけです(笑)
いや、高感度を上げればきちんとOKもらえるのですが、私は最初やったときはとりあえずどんなもんかといきなり告白して当たり前のように振られましたw
告白の仕方は公式HPをご覧ください。次に一応画像出しておきますけど、ダウンロードのページに「告ってシュガスパ!」というFlashがあるのでそっちで実際に動くのを見た方がわかりやすいですね。
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なお恋人になる時期によっては②の個別エピソードが変わります。

②について。
今回は『あまなつ』までと違ってストーリーがあらかじめ決められているのではなく(軸のメインストーリーは固定ですが)、自分でショートストーリーを選んでいく形になっています。これによって高感度を上げたり、③のオトメカイセキというのを進めます。
マップは最初は次みたいな感じになってます。全部エピソードが灰色。これを別個に選んでいく形で話を進めます。
b0118096_17121897.jpg

ちなみにこのとき選んだエピソードのよって後々出たり消えたりするエピソードが多数。ゲーム性は『あまなつ』から比べて格段に上がりました。

次に③について。
オトメカイセキは名前の通りですけど、②で紹介した個別エピソードを見ていくことによって、および各ヒロインを攻略することでその女の子について、どういう子ってことが円グラフで表示されていきます(上のキャラ紹介の画像で編集して消したのは主にその部分でした)。
最初の方は次みたいな感じで何にもないです。
b0118096_17133754.jpg

ちょっとセーブデータを無理矢理動かしてほとんど初期化したので、実際にプレイするとこれを見る頃にはもっと埋まっているはずですけどね。

最後に他のシステム面。
TBLET名義で『きのこまち』というゲームが出ていますが、ここで色々と試された演出がssでは複数盛り込まれました。
その中でも印象的なのがバックでキャラが勝手にしゃべっているというやつ。
大抵のADVであればメッセージウインドウに表示されている音声しか流れないものですが、今作ではそれとは別に背後で誰かがしゃべっていることがあります。しかもこれはウインドウによる制限がないので各キャラが実際に掛け合いをやったりします。つまりあるキャラの言葉を他のキャラが遮ったりするということ。これによって臨場感が出て、奥行きもすごい広がったものになっています。最初これやられたときはびっくりしました(そして私はオートでメッセージを流していたために途中でこの音声が切れましたorz)。


さてはてストーリーに触れましょう。
まずは毎度のごとくですが、主人公は今回もあるものを喪失しています。名前は新木和真(あらきかずま)で、なくしたものは単純明快。ずばり記憶です。ようは記憶喪失ってやつです。
正直『なんて安直な……』と思いました。が、私同様そう思った方は配信されている無料体験版の1月篇をやってみてください。下手な作り手とは違ってきちんと説得力を持たせることをしています。ここら辺の取材力はチュアブルさんのずば抜けている部分ですね(これについては次回の『恋文ロマンチカ』の紹介のときにもう一度触れます)。
なお私はプレイ前には少々不安でした(体験版の1月篇で多少解消されたとはいえ)。というのはエピソードを自分で選んでいく形式にしたということは、メインのストーリーに割く割合が減るということです。それで軸は本当に大丈夫なのか?、と。
まあ、プレイしてみればこれはきちんと裏切ってくれました。メインストーリーはしっかりとしていますし、個別のエピソードは独立したものとしてきちんと楽しいですし。ここはしっかりとチュアブルさんが意地を見せたところだと私は思います。
けれど実際問題としてやはりメインストーリーに割かれる割合は減っているわけで、それだけ一番の骨格部分はやはり短くなっていました。また主人公の喪失しているもの(今回は記憶)の埋め合わせも解消不足(というか途中の承と転の間のような部分である程度解決させちゃいます)。ヒロインによってはこれに関してもっと踏み込む話へと展開しますが、ストーリーを一番重視する身としてはこれはちょっと減点対象です。(まあ個別のショートストーリーが面白いですし、ゲーム性も鑑みれば十分補われますが。この辺はプレイヤーの好みでしょうねえ)
なお前段落でちょいと触れましたが、主人公の喪失した記憶の裏にはそれなりの背景があります。『あまなつ』で触れたように喪失の部分にかなりの厚みが増されているというわけですね。これはチュアブルさんの『あまなつ』以降の特徴。


さてはてそろそろラストスパート!
この作品より製品にシリアルコードが導入されました。このコードにより修正パッチなどのサポートを受けることができます(現在は解除)。これは商業面に関して言えば自分たちの権利を守るものです。当然のことながら商売としてゲームをつくっているわけですから、それを勝手に無料配布されたり中古販売されると困るわけです。これに関しては任天堂がファミリーコンピューターを発売するときにパスを導入したことや、その後も各メーカーによる中古販売に関する訴訟などが起こされてきているのでチュアブルさんが何も特別なことをやったわけではないです。
ですが残念ながら当初猛反発を受けて掲示板が半ば炎上しちゃいました。「中古で買った人間はどうするんだよ!」とか書かれてましたっけ?
でも売り手や普通に新品で買ったユーザーには「何言ってるんだ?」というのが正直な感想かと。中古ならまだいいのですけれど、ネット上で流されたようなものまで普通サポートできないですよ、仕事なんですから相手は。
ただこういう意見が出てきてしまうのにはいくつか理由が考えられます。(後々コンピュータゲームの歴史にでも触れた記事を書くかもしれませんが)昔はパソコンで使うソフトは無料で配布されるものという暗黙のルールがありました。これはコンピュータに当初興味を示した多くの人たちがアマチュア無線家だったことと関係がありそうです(なお日本で最初にコンピュータゲームを売り出したのはハドソンですが、元々はアマチュア無線機器を売っていました)。無線は受信するのは無料ですからね。また日本は本やゲーム、そしてことさら映像作品に関してお金を払わない国です(現在は少々買い手の財布のひもが緩んできたようですが)。なのでレンタルとか中古販売とかが他国よりもずっと繁盛しています。またネット上での著作権に関しては実はいまだに専門家でも議論途中です。できるだけ保護する方向で進みつつありますが、HPやYouTubeのようにどんどん素人が著作権を無視して配信できるものが乱立していくネット社会では取り締まりが難しい。そのため勝手にソフトなんかを流しちゃう人が出てきてしまう。そしてお金を払いたくない昔ながらの日本人はそれを利用してしまうという構図になってきつつあるようです。
何にせよこれに悩んでいるのはチュアブルさんだけではなく他のメーカーさんや映像会社なども同じことです。全部摘発していくだけの人的資源に乏しいチュアブルさんはシリアルコードを導入したということになります。
ですけどチュアブルさんは優しくて(というか優しすぎて)、このシリアルコードを導入することで反発も出てくることを考えてか、持っている人への特典も設けてくれました。一番大きいのは演出の強化を施すパッチの配布(バグの修正だけならコード不要にしてくれちゃいました)、あとはChuable soft Fan Club(CFC)への登録およびCFC会員への特典の用意。あとはコードの印刷されたカードを持ってくとイベントなんかでおまけをもらえることですか。あ、新作の声優オーディションへの参加もありました。……いやあ、特典用意しすぎですよ?

さてとりあえずこうしてシリアルコードの導入とCFCの発足がこの作品でなされたのがこの作品からです。購入する人はできるだけ新品で買いましょう。


なおssでは「スピンアウト!」という企画がつくられました。これはCFC会員によるオリジナルエピソードがつくれるというもので、イベントCGが使えないとか声が入らないという点を除けば、かなり原作と近いショートエピソードをつくることができます。閲覧はCFC会員でなくても可能です(ただしネタばれは普通に入っているので見る人はプレイ後にした方がいいと思います)。これは現在公式HPの右側にリンクが張られていたはずです。
ちなみに私自身も2作公開してます。他の人がつくったキャラクター・世界観で物語をつくるのって初めてやりました。しかも絵と音つき。めちゃくちゃ苦戦した記憶があります。でも今見てみると……まあまあ面白いかな? 自画自賛ですか、これ(苦笑) けど『ああ確かに雑踏子猫の作品だ』と思いました。人から借りたものでも独自性って出るもんですねえ。(ちなみに作品名は『一沙と夢路が!?』と『鏡の中のはねる』です。ま、電撃経由とかで私の著作を気に入ってくれた人はわりと好きになってくれるかもしれません)

あ、最後に。サブキャラの人気がやたらと高かったのもこの作品の特徴ですね。
多分一番人気はこのキャラ。
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当然こんなセリフ劇中にないですw 私が勝手にスピンアウトを利用してつくりました。怒らないでくださいね(汗)


さてラストと言っておきながらまだ続ける心。
上で紹介したssは人気を博しまして、ファンディスクが発売されました。
2008年の5月23日発売の『Sugar+Spice!Party☆Party』(以下sspp)です。
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このssppは――えっとファンディスクです。これ以上適切な表現が思いつかない……。
内容は各ヒロインのおまけの話と人気の高かったサブヒロインの深山彩弥(みやまあや)、本見倫(ほんみりん)のエピソードが収録されたもの。あとはミニゲームの類ですね。
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ただ話としてはとても短いですし、主人公の喪失とも関係ないので、だから「ファンディスク」です。ssをやって気に入った方は購入すればよいかと。


さーて、長くなりました。もう終わります。
さて、今回紹介したssの目玉は「告白」です。プレイしたことある方はコメント欄にて告白しちゃってくださいな。ここではゲームの制限がないので誰にでも告白できますよー。
(さあ作成者の特権として一番手を取りましょうか)
チュアブルソフト公式WEB
by zattoukoneko | 2010-03-10 17:18 | ゲーム | Comments(9)

チュアブル2nd『あまなつ』紹介

今回はチュアブルソフトの第2作『あまなつ』についての紹介です。
前回と同様画像はチュアブルソフト様より使用許可をいただいております。無断転載は絶対禁止!!

まずは基本情報。
発売は2006年の6月23日。CD-ROMで3枚で、パッケージの絵ってこれであってましたっけ?(ソフトが……埋もれて取り出せないorz)
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で、キャラクター紹介といきたいところですが、前回ここでぎん太さんが大きく飛躍したように感じられると言いました。それが次の絵です。HP上で公開されたとき、とても大きな反響を呼びました(ちょっとえちぃですけど、このくらいなら大丈夫ですよね?)
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これちょと全体が写ってるわけじゃないんですけど、すごい空気感が出てますよね。
――あ、全体の絵も発見。
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またGWAVE様とコラボして作品をイメージした楽曲やサウンドトラックが製品より先に発売されたのも印象的でした。この『Mermaid Kiss』に収録されている曲はとてもいいもので、私自身何度も聴いてます(何かの執筆中――てかこれ書いてるときも――聴いてますけど、再生回数が50を軽く超えてるみたいですね。前のPCから数えると100近くになるかも?)。
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このCDのジャケットも印象的ですね。他にもぎん太さんが素晴らしいイラストを公開してます(現在HP上からは消えちゃいましたが)。これらはぎん太イラストワークス (MAXムツク PUSH Selected)に収録されてたんじゃないかな?

さてキャラクターの紹介が遅れました。今回はメインヒロインは綾瀬真魚(あやせまお)、御薗木桜子(みそのぎさくらこ)、風見涼夏(かざみすずか)、ソフィア・由花莉・三島(そふぃあ・ゆかり・みしま)、はるさめの5名となります。
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立ち絵については……ごめんなさい、編集しようと思いましたけど多すぎて無理ですorz チュアブルさんの製品紹介ページのキャラクターのところにて何パターンか確認できますのでそちらをご覧ください。

舞台は海ヶ瀬(あまがせ)という海に面した町で、真魚と桜子、涼夏はそこにあるミッション系の学校の生徒。ソフィアは先生。はるさめは――秘密、ということで。
この海ヶ瀬には人魚にまつわる伝説があり、これと学校で教わるキリスト教由来の教義が密接に結びついています。また海の輝く誘火(いざない)という不思議な現象があるところでもあり、それに合わせて翠鱗際(すいりんさい)という七夕に酷似した行事が行われもします。話の期間はこの翠鱗際の前後の1ヶ月程度となります。
と、ここまで舞台の説明をしたところで前回の記事の『Pure×Cure』と比べればわかると思いますが、本作は舞台の設定がかなり前面に押し出された作品となっています。またただ舞台設定を細かくしたり、前に出しただけではなく、各キャラごとに人魚伝説の解釈などが変わってきたりして見事にこれを消化しています(ただしその分、人魚って結局何なのか?、という明確な答えは出せなかったりするわけですけど。まあそこが納得いかない人もいるでしょうし、私みたいに色々な解釈をするところに感心する人もいるでしょう。そこは人それぞれ、ということで)。

さてすっかりここまでの記事で忘れられてしまっている主人公くんですが(笑)、名前は常盤彼方(ときわかなた)。数年ぶりに海ヶ瀬に戻ってきて従妹の真海の家、兼、民宿である栄江荘で暮らすことになります。今回も彼は前作の米倉広海と同様失ったものがあります。
表面上にすぐにわかることは、泳げないということ。特に海が苦手で波しぶきがかかることすら怖いですし、船に乗るのもできないです。
これだけだと喪失というか、ただの問題点なのですが、話を進めていくとその原因が彼の過去の体験にあることがわかります。
『Pure×Cure』では喪失というのが想い人を亡くしたということで明確で単純でしたが、今回は表面上の「泳げない」という問題点とその裏にある「過去の出来事」の二重のものでできており、その分厚みが増しています(ただそれだけ受け手にはすんなりとは受け入れがたいという問題も生じますが、これもプレイした人によって好みは分かれるでしょう)。

本作での見どころはやはり人魚伝説の解釈の仕方ではないかと思います。多少攻略キャラによって似ているものも出てきますが、ここまで綺麗に舞台設定を活かしているのは素晴らしいです。
個人的にはソフィアのルートが好きなのですが、解釈としては他のものと比べると平凡ですし、ストーリーもありがちと言ってしまえばそうなってしまうかもしれません。ただそれを彩るキャラクター同士の駆けあいや舞台設定の有効な利用、また絶妙なタイミングで『Mermaid Kiss』に収録されていた歌が挿入されるのも素晴らしい演出です(CDの発売が先っていうのには当初戸惑いましたけど、結果とてもよかったです)。
他には涼夏は一言で片づけてしまえばツンデレキャラですが、そこはチュアブルさんが独自に「ツンデレって何か?」を追及していて、そんじょそこらのツンデレではないです。ありふれたツンデレを望んでいた方はがっかりするかもしれませんが、この独自性を見ようとする姿勢は尊敬の念に値すると思います(ちなみに余談ですが、きっとこの話を見てなかったら私が第8回の電撃掌編王で受賞することもなかったと思います。あれができたのはこの作品の影響が少なからずあったんだろうなと感じますから)。

さて『Pure×Cure』と比べると舞台設定やそれの取り込みで本作は大きく進歩しました。また主人公の背負うものも複雑化しました。
ですがそこを好きになるかどうかは受け手によると思います。『Pure×Cure』の方が単純だったために感情移入はしやすいです。想い人を亡くすなんてのは特に多くの人にとって琴線に触れるものでしょうし。
ただ少なくとも駄作なんかではないです。普段からそれなりに複雑な物語に慣れ親しんでいる人はとても気に入ると思いますね。

なお物語の構成は『Pure×Cure』では起承転転転結(細かく分ければもっと転は多い)ととても転が多かったわけですが、今回はストーリーが各キャラで全く違うからか、あるいは演出面で強化されているからか、転の数は減ってます。なので『Pure×Cure』のように「これでもか!」というほどに読者の心を揺さぶってくる箇所は少なくなってます。
でもこれも受け手の好みによると思います。私も転が少ないソフィアのルートが好きですし。それに減ったとはいえ最低でも起承転転結とみることができますので、そんじょそこらの物語よりはずっと転は多いはずです。


以上が、簡単にではありますが、紹介って感じでしょうか。
万人受けし消しやすい『Pure×Cure』よりはファンが少なくなりそうですけど、それは物語が駄目だからじゃないと私は強く主張しておきます。
それにきちんとチュアブルさんの作品です。「Medicine for your mind.」はきちんと受け継がれていますよ。
チュアブルソフト公式WEB
by zattoukoneko | 2010-03-08 08:46 | ゲーム | Comments(11)

チュアブル1st『Pure×Cure』紹介

できるだけ早く記事を仕上げてみました。訪問者の数が思いのほか急増していたものですから。

さてチュアブルソフトさんの処女作である『Pure×Cure』についてご紹介していこうと思います。なお今回(および次回以降)はチュアブルソフトさんのご厚意ににより画像の提供を受けさせてもらいました。ありがたいことです。当然のことですがそれぞれの画像には著作権がありますので、無断転載は禁じられています。使用したい場合はチュアブルさんの方にきちんと許可をとってください。
さてはて内容に入っていこうと思います。

まあまずは基本情報でしょうかねえ。
発売されたのは2005年の2月11日です。CD-ROM3枚組。
次はパッケージの絵。
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主人公は米倉広海(よねくらひろみ)で、臨時の養護教諭として自分の母校である姫奈学園で二学期の間勤務することとなります。
この設定だと大抵のアダルトゲームメーカーだと女子生徒を取って食い取って食いする話になりそうな気もしますが(というか私も設定見たときそう思ったw)、そこはきちんと純愛ものになっていますのでご安心ください。
メインヒロインは7名。高三生の橘果林(たちばなかりん)、吉野みずき、冠城遙南(かぶらぎはるな)と二年生の神楽坂月乃(かぐらざかつきの)、西原翔子(さいばらしょうこ)、朱雪梅(ちゅしゅえめい)、および幼馴染みで同じ教師である軍司都(ぐんじみやこ)となります。
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で、ストーリーが物書きとしては一番気になるところではありますが、でもゲームという画像がついた作品である以上、そこも見ていかないわけにはいかないですね。
まずはOPを見ていただきたいのですが(絵も音楽もありますから)、これについてはここのブログではupできませんので、チュアブルさんの製品紹介ページやYouTubeでチュアブルさん自身が公開していますのでそちらをご覧ください。
で、肝心の絵についてなのですが、イベントCGなどはやはりやってみてのお楽しみという感じがしますので、あえて紹介は控えていきます。代わりにどこが注目に値するのかを提示したいと思います。
一つに前回の記事で言ったように立ち絵の数が豊富なのが特徴です。次は(立ち絵ではないですが)果林の表情です。
b0118096_20204457.jpg

また制服なんかも各キャラで違っています(先生である軍司都は次の画像では割愛)。
b0118096_20213358.jpg

……自分で紹介しておきながら何なんですが……本気で全員違うんですね。改めてびっくり。なお今回の画像がクリア後に出てくるおまけページからとってきました。また服装にはこれ以外にも何種類もあります。私服もありますし、途中で衣替えもされます(あとはメイド服なんかもありますよー)。あとは髪型が変わったりするキャラもいます。
あとこの画像で注目していただきたいのは、左下と右上の方に各キャラの小さくしたような絵が入っていますね。また次の画像はマップ上での選択肢が出てきている画像。
b0118096_2022816.jpg

こんな感じで各所にかわいい絵が入れられていて細かいところまで遊び心がちりばめられています。
――と、なんでこんな話をしているかというと、実はこういう遊び心を大事にし、細かいところまでこだわっているメーカーさんというのは今後発展していく可能性がとても高いと言えるからです(「エジソン発明会社の没落」の記事の最後でゲームなんかの動向を調べてみると研究課題として面白そうですよ、なんて話をしてましたが、実は私がすでに着手済みです(笑) 色々と難しい側面があって発表がまだまだできる段階ではないのですが、今大手のメーカーさんになっているところほどこういうところにこだわっていることがわかるのです)。なのでチュアブルさんの作品の中にこういうところを見いだせたということは、このメーカーさんは今後大きく飛躍する可能性があると予見できるということです。
さてイベントCGは見せないと言ってましたけど、一つだけ印象的なのをあげておきます。キャラは橘ゆずりというキャラクターで、この絵は『ゆずりは』という作品の表紙になってたので出しちゃいます。またぎん太さんの魅力をとても感じさせる一枚ですので、私自身お気に入りだったりします(それと次作の『あまなつ』でぎん太さんが大きく飛躍したように見えますので、そことの比較も考慮しました)。
b0118096_20224494.jpg

なおこのキャラについては次のストーリー紹介で触れます。


さてストーリーですが、チュアブルさんは前の記事で述べたように主人公が何かを喪失していることが多いです。
『Pure×Cure』の主人公である米倉広海の喪失したのは、高校時代に片想い(というか両思いだったんでしょうけど)していた相手です。それが上の画像の橘ゆずりです。
ゆずりは二年生のときにベランダから落ちて死んでしまいます。広海はその彼女のことが忘れられず、常に形見のヘアピンを持ち歩いています。
そんな彼は、事故で大事な人を死なせたくないという思いから養護教諭になることを決めます。ただし男の保険の先生というのはやはり奇異な目で見られるもの。また広海自身まだまだ経験も浅い。彼に与えられる課題は男性でもきちんと養護教諭の務めを果たせるのか、そして大事な人を守れるのか、ということになります。
この課題に関してはストーリーの前半(衣替えの前)に一度(あるいは二度)試されることになります。この辺りまでは体験版でプレイできますし、性描写も……ちょっとだけはありますけど……ないに等しいので興味を持った方はまずここまでやってみるかといいと思います。
ストーリーの後半では各キャラの個別ルートに入っていくことになります。こちらは全部紹介するなんてことは無理ですし、実際にプレイしてくれた方がずっと感動が大きいはずですので詳述は避けます。……というか本当のことを言えば私には書くことができません。後で言いますね。
とりあえずどんなところが優れているのかについて、構造だけとってきてお見せしたいと思います。
前に書いた「バック・トゥ・ザ・フューチャーの構造」の記事で起承転結の話はしました(起承転結について知らない方はそちらをちらっと見てきてください)。起承転結は今でも物語を描く人にとっては必須の技術ですが、ぶっちゃけ現在の日本ではこんな単純な構造では通用しなくなってきています。特にミステリーの分野では顕著です。今は起承転結ではなく起承転転結、あるいは起承転転転結と、転(つまりストーリーのひっくり返し=読者の驚きの喚起)が複数ないとなかなか認めてもらえません。
『Pure×Cure』においては「これでもか!」というくらいに転がちりばめられています。細かいものも含めると相当な数になります、が、それらを類似したものはまとめて整理すると大体のキャラは起承転転転結が採用されていると考えていいかもしれません。
ただ……私は(ネタばれを防ぐために内容に触れられないこともあって)こうして構造を取り上げることしかできませんが、しかしプレイしていたらそんなのどうでもよくなってきます。キャラクターたちの一言一言、そこに声を当てている声優さんの演技力、後ろで流れている音楽、それらにどんどん引き込まれてしまいます。私自身こうやって構造の方に目を向けることができるようになったのはプレイし終わってある程度余韻が醒めてからです。それまではひたすらその物語の見事さに圧倒されているだけでした。
だいぶ前に『クレヨン王国 月のたまご』の記事を書いています。このときに私が思ったことを書いていますが、本当に素晴らしい作品というのは(きちんと構造も守っているのですが)理屈を超えた形而上のものを読者に見せてくるような気がします。一般的に「華」と呼ばれたりします。これは書き手の才能としか言いようがないもので、言葉にすることは難しいです(文章書きとしては歯がゆい限りです。ネタバレしていいなら少しは書けますけど、今回は制限をかけてますし、どこがいいとか全部書いていったらどれだけ記事を分割せねばならないことか……)。
ともかく、『Pure×Cure』はプレイヤーをこれでもかというくらいにひきつけてやまない作品となっています。今ライトノベルなんかはキャラクター小説とほぼ同義になりつつありますが、この作品ほど各キャラクターが魅力を掛け合わせながらストーリーを展開するものにはそうそう出会えません。キャラクターというものをこれだけ掘り下げて対話させるとこれだけ自然なもので人を魅了するものになるのかと、私は感服するばかりです。


さて、『Pure×Cure』の紹介はこのくらいにしておきます。今回の記事はあくまで構造やどこを見ると面白いのかについて触れただけです。実際には配信されているOPムービーや無料体験版、そして製品版を実際にプレイしてみて体感していただくのが一番だと思います。

最後に――ごめんなさい、ちょっとだけ悪口です(次の『あまなつ』の紹介の記事に繋げるためにどうしても指摘しておかなければならない点です)。
『Pure×Cure』は姫奈という町が舞台で、またところどころに「ヤツキヒメ」という架空の昔話が織り交ぜられています。しかしこの姫奈というのがどんな町なのかがいまいちわからない。私たちの住む現実世界と何も変わらないようにしか思えないですし、あるいはどんな交通手段があるのかとか、近くには海があるのか山があるのかよくわからないという感想を私は持ってます。ただ製作者側はある程度まできちんと考えている節はあります(これがよくわかるのが、ドラマCDである『H4』という作品です。ここで「ヤツキヒメ」についてかなり語られています)。ただそれを感じるからこそ、舞台にもっと入り込みたいのにという感想を持ってしまいました。
まあ、こういう感想を持つということはもっとこの作品にのめりこみたいと思ったということなんでしょうけれど。

追記:最初のほうの記事でコンシューマー版の『Pure×Cure Re: Covery』の宣伝をしています。18歳未満の方やどうしても性表現が嫌だという方はこちらをやるしかないのですが、できることならオリジナルの方をやってもらいたいです。
というのは(FFXIIIでも思ったことなのですが)大怪我をしているのに血が出ていないのがとても不自然に感じてしまうんですね。この点はゲームに関する規制がおかしいと私は思います(だって映像作品では血が出てもいいわけですし、何より人間怪我したら血が出て当然でしょう)。
また(えっとネタバレしてしまうため詳しく言えないのですが)イジメのようなシーンが確かカットされていたはずです。でもこういうことこそ受け手はきちんと目を向けるべきだと感じます。
ということで、できればオリジナル版のほうでプレイしてみてください。
チュアブルソフト公式WEB
by zattoukoneko | 2010-03-05 20:25 | ゲーム | Comments(6)

チュアブルソフト紹介

今月の数回は応援しているゲームメーカーさんであるチュアブルソフトさんのこれまでの作品を紹介したいと思います。
せっかく横にリンクバナーも貼っていて、このブログではいくつかの小説やゲームの紹介もしているのに、自身の好きなメーカーさんのソフトについて触れていないのは変な話ですよね。最近になって気付きました(汗) また紹介するに足る素晴らしい作品でもあると思って記事にすることとしました。
ですが、まずはチュアブルさんってどういうところか、という全体像を見ておいた方が今後の説明に役立ちそうです。今回はメーカーとしての特徴について触れていきたいと思います。


まずチュアブルソフトさんは2004年に立ち上げられたアダルトゲームメーカーです。処女作は2005年に発売された『Pure×Cure』となります。
チュアブルさんはその前はTABLETという同人サークルとして活動しており、ここでは『茜の空に月をみる』という伝奇物の作品を発表しています(後に『きのこまち』というソフトも発表しますが、これはチュアブルソフトが設立された後のソフトで、同人として様々な演出に挑戦した作品という印象です)。
メーカーの名前であるチュアブルChuableは噛める錠剤を意味するchuwableをもじったもので、chu-able、つまり「キスができる」の意味も込められているそうです。
TABLETもChuableも薬剤をイメージさせる名前であることからわかるとおり、他社のアダルトメーカーさんとは異なり、心にやさしい(感動させる)作風に重点を置き、凌辱のような過激な性描写は扱っていません(女性の方でも安心してプレイできると思います。基本的に女性が嫌がる性行為はないはずですね、女性のことを尊重した作品づくりがなされているので。まあ、人によっては嫌なものもあるとは思いますけど)。またソフト起動時に標語として「A medicine for your mind.」と表記されることからも、製作者側がこの路線をとても大事にしていることがわかります。
設立からの現在に至るまでの沿革には様々ありましたが、ここでは割愛します。掘り返しても今後の記事に繋がるわけではありませんし。

さてはてチュアブルさんのソフトの特徴に関して触れていきたいと思いますが――そうですね、目につきやすいところから説明していくのが初めての方にはわかりやすいかもしれません。

最初に目を引くのはグラフィックの綺麗さです。主に担当しているのはぎん太さん(女性)という原画家・イラストレーターで、現在はチュアブル内だけではなく、電撃文庫さんなどでも登用されるなど幅広い活動をされています(余談ですが私が受賞した第2回電撃リトルリーグが載っている電撃文庫MAGAZINEにぎん太さんが挿絵を描いていました。ちょっと感動でしたよ)。ぎん太さんのイラストについてはこの記事の一番下にチュアブルソフトさんへのバナーリンクを張っておきますので、そこに小さくですが絵が描いてあると思います。
ぎん太さんの絵は女性キャラを非常にかわいく描くのもそうなのですが、男性キャラもきちんと魅力的に描いておられます。またキャラだけでなく水彩っぽい色付けが得意なんでしょうか、とても淡い感じの雰囲気が漂うイラストを仕上げてきます。(近年ライトノベルなどでキャラだけに特化した画を描くイラストレーターさんが増えてきていて少し残念です。私としてはぎん太さんのような絵師さんにどんどん活躍していってほしいと思うところです)
また立ち絵が豊富なところも特徴です。非常に表情豊かにキャラが動いてくれるので見ていてとても感情移入しやすいです(チュアブルさんのゲームをやった直後に他のメーカーさんのソフトをみるとキャラが機械的に見えるほどです)。立ち絵の数は作品が後の方になるほどどんどん増えていきます。表情やポーズだけでなく、衣装も増えていってますね。一番新しい『恋文ロマンチカ』では宵之道吟情というキャラクターが一番立ち絵の数が多いのでしょうかね? これ何十種類あるんでしょう? 数えきれないです。

次に注目されるのは音楽でしょうか。これに関しては『Pure×Cure』のOPを見ていただければいいんじゃないかと思います。音楽も歌も素晴らしいです。
まあ、私は音楽には疎いので正しい評価を下せるかはわかりません。普段J-POPとかまったく聴きませんしね。なので個人的な趣味で以下は語らせてもらいます。
私が好きなのは遊び(建築の用語で、ゆとり、のような意味合いです。お城の石垣などをみるとがっちりと組んであるわけではなく、大きさがまちまちな石が積まれていて隙間も空いています。実はこの方が地震の多い日本では耐震性に優れるんですね。……ちょっと脱線しました)がある音楽が好きです。遊びがあるということはがっちりと構成されていないということですが、その分聴く側の耳にやさしいですし、アレンジなどもしやすい楽曲となります。私は何かを執筆中に音楽を聴いているので、この作りは大変ありがたいです。(ちなみにクラシックだとバッハが遊びがあって好きです。実際バッハの音楽は色々とアレンジされていますよね。一方で構成ががっちりしているのはモーツァルト。いい曲なのはわかるのですが、執筆中には向かないので私は好みではないです)
音楽と関連してキャラクターの声について。
チュアブルさんは処女作の『Pure×Cure』のときから声優の起用に関しては多大な時間をかけて選考しており、その結果も素晴らしいものです。今までの作品で「この声は失敗だろう」なんて思ったキャラは一人もいないですかね。なお第3作の『Sugar+Spice!』からはユーザーによる投票も取り入れており、さらに選考に手間をかけています。

さて最後に物語の構成のお話です。
チュアブルさんは(TABLET時代からですが)一つの物語の基本構造を取り入れています。それは以下のようなものです。
①主人公は序盤で何かを喪失する(あるいはしている)。
②主人公に課題が提示される(チュアブルさんでは主に恋愛)。
③主人公が課題に取り組むとともに、喪失していたものに目を向けることになる。
④課題を克服する。と共に、喪失していたものを取り戻したり、代わりのもので埋め合わせる。
これはすべての物語に多少なりとも取り入れられているといって過言ではないほど多く使われている物語構成です。単純に主人公が何か大事なものを失えば、そこで読者は感情移入やすくなるわけですし、それを克服していく過程はより読み手を夢中にさせていくということです。そのためこの手法は古くから使用されてきたものです。
チュアブルさんはこの基本構造をしっかりと取り入れながら、かといってそれだけに縛られない独自の魅力も打ち出すことに成功しています。単純に構造だけ守ってる下手な作り手ではないということです(私も見習わなきゃなあ)。
この物語の構成に関しては各作品を具体的に見ていく際に触れていった方がわかりやすいでしょう。それぞれの作品で何が一番気にされているのかもいくらか違いがあるようですし。


さあ、今回はこのくらいでしょうか。次回から具体的に各作品について見ていこうと思います。ネタばれは基本的になしでいきたいと思います。まあ、体験版をやったらわかる程度のばらしは許してくださいね?
以下はチュアブルソフトさんへのリンクです。アダルトゲームメーカなので18歳未満は訪問しちゃだめですよー。
チュアブルソフト公式WEB
by zattoukoneko | 2010-03-03 06:34 | ゲーム | Comments(1)

FINAL FANTASY XIII Orignal Soundtrack

昨日発売されましたFFXIIIのサントラですが、かなりいいですねえ。
正直XIIをやったときにはストーリーにも音楽にもがっかりしたものです。だから今回サントラを買うのはやめようと思っていました。
しかしゲーム中盤にさしかかるころには、「これは買うしかない!」と思って即刻予約しましたよ。今回は音楽がとてもいいですね。
FFXの「素敵だね」のように中盤とエンディングで流れるときで意味合いが異なるようなとんでもない仕組みはありませんし、二週目以降で(ラストがわかっているから)その時々の細かい仕草や音楽に心揺さぶられるようなことは今回はないですが、今作のXIIIも十分その時々のシーンに合った音楽が流れてきます。
今も聴きながらこの記事を書いていますが、もう一周やりたくなってきますね(でも、強くてニューゲーム、とか、アイテム引継ぎ、とかが欲しかった……)。
ちなみに私個人としては「ヴァニラのテーマ」がお薦めかも?(まだそんなに何度も聴いたわけではないのでこれから好みが変わるかもしれませんが) ちなみに私のPS3の背景テーマもヴァニラです(本当はずっとセラにしようと思っていたのですが、いざテーマを取得して設定してみるとあんまりかわいくなかったorz)

なお、やっぱりゲームをやってからサントラは聴いてほしいところです。音楽単体でももちろんいい曲ですですが、こういう映像と一緒に流れることを想定して作られた音というのはそのときのシーンと合わさってこそ本来の力を発揮すると思いますので。だから一度そのイベントを見てから、その場面を思い出しながら聴くのがいいのかと。

以下Amazonさんへのリンクです。ゲーム本体も一緒に入れておきますね。
ファイナルファンタジーXIII
ファイナルファンタジーXIII オリジナル・サウンドトラック(初回生産限定盤)
ファイナルファンタジーXIII オリジナル・サウンドトラック


さてはてこの1月は記事をupしすぎた気がします。平均すると二日に一つの投稿をしている計算に……。
少し抑えたい感じです(というか抑えないと他の生活に支障が……)。
まあとりあえずは今月中の記事の投稿はこれでおしまいということで。二月になったらまた再開しますね。
by zattoukoneko | 2010-01-28 15:28 | ゲーム | Comments(1)

KH BbSの感想

繋がりが悪くなって申し訳ないです。先日発売されたKH BbSの感想です。
まあ、まだ全部終わったわけじゃないんですけどね。旬が過ぎないうちに、ということで。

今作はテラ・ヴェンテゥス・アクアという三人のストーリーを別々にクリアしていきます(ようは三週はしろということですね)。
一人のストリーだけだと各ディズニーワールドの話がわかりませんが、三人やれば見事に筋が通った形になります。このアイデアは斬新だと思います。今までのようにソラ一人で全部解決、というのが目新しかったですし、やっぱり色々な人との関係で物語は進んでいくのだな、と思わされました。
さて、ディズニー世界の話はともかくとして、KH自身のストーリーはどうだったかが気になるところです。
私としては良かったと思います。
でも。
PSPの容量では小さすぎたのではないかというイメージでした。
各キャラの話は面白い。でも少し展開が早急すぎる気がしました。何せ三人分ストーリーが入っているのです。容量が足りなくて当たり前なのです。
私はPS3でいいから(そして画質もそのままでいいから)各キャラの心情についてもっと深く掘りさげてほしいいという感じでした。
まあ、今回は随分と良くできているからこそそういう欲求が出てくるんだと思いますが。

全体としてはとてもよいストーリーだと思います。発表済みの作品の鍵となる部分も随分明らかになりましたし、各キャラの心の変化に踏み込んでいるのもⅡからして見ればとても大きな進歩だと思いました。
まあ、まだ伏線を残しているのがこしゃくな感じですが。

ちなみにシステム面はこれまでのKH作品同様快適です(ただメニューを開くのが△ボタンじゃなくなって、コマンドが△なんです。このせいで何度間違ってポーションを消費したことか;;)。
でも、今回マップのギミックにこだわりすぎじゃないですか? ディズニーワールド回るの結構苦労したんですが…・・・。

まあ、苦言も呈してしまいましたが、それは良作だからこそ言いたくなること。私はとてもいい出来だと思いました。
KHシリーズはまだまだ進化しそうです。まだ手をつけてない方はぜひご購入を検討してみてください。
by zattoukoneko | 2010-01-13 17:47 | ゲーム | Comments(2)


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②見てもらう人にも考えてほしい。
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電撃文庫のHPの方で
私の作品を載せてもらってます。
ありがたいことです。



第1回電撃メジャーリーグで争った
山本 辰則 様
のブログ。
山本辰則の小説とか



素敵な小説を書かれている
雪見月瑞花 様
のHP、HarvestSnow
HarvestSnow
ただこちらは
“ひっそりと”
運営していきたいそうです。



こちらはお世話になっている
美容室gally@下北沢 様
です。
お薦めなのでリンクを貼りました。


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