タイムトラベルって可能?

今回は久々に物理のお話です。といってもそんなに難しくはならないは、ず……。
えー、初っ端から心挫けそうな筆者ですが?! 何とかなるさ、書いてみよう!!


というかいきなり答えですけど。
「無理ぽ」
タイムトラベルというのはできません。これは次のような簡単な思考実験によって説明可能です。

まずあなたAが過去にタイムトリップすることによって、あなたAが生まれる前の親Bを殺したとします。その場合あなたAはこの世に生まれなくなります。したがって親Bを殺す人Aがいなくなります。したがって親Bが死ぬという歴史はないことになります。

これ「親殺しのパラドックス」と言われており、タイムトラベルについて論じられていた初期の頃から提示されていたものです。これによれば過去に行って歴史を改変することはできないということです。


でもこれは「過去へ」の話です。「未来へ」行くことについては実は――可能なのではないかと言われています。これについて説明していきましょう。

まず予備知識が必要になり、アインシュタインの特殊相対性理論について知ってもらわないといけません。
なーんてことを言うと「ええええええ?!」と思う方も多いと思いますが、実は話はそんなに難しくありません。歴史を追っていくと実は内容はとても簡単です。(一般相対論は難解ですが)特殊相対論は四則演算しか使いませんしね。今回はそれすら使いませんし、お話として見てくれればよいかと。
そもそも光に関する研究は古くからありました。毎度毎度科学の歴史を振り返ると出てくる名前ですがアリストテレスが光と色に関して論じていますし、ニュートンがプリズムを使って光を虹色に分けたりしました。ニュートンはどのような立場をとっていたのか明言していないようですが粒子論だろうとされています。なお粒子論や機械論については以前出した記事を参考までに。ニュートンの万有引力は科学じゃない?
ニュートンの影響力が大きかったのでやや隠れていますが、実際には彼と同時期にフックやホイヘンスという人物が波動論を出しています(注:波動論も機械論の中に含まれます。粒子論は機械論の中のまた別のもの)。この波動論は1800年にヤングによって復活させられ、フレネルによって数学的に整備されました。この際に波動は(当然何かを媒体として伝えないといけないので)エーテルという目には見えないが空間を満たしている物質によって伝播されるとされました。なおここで言っている「エーテル」とはアリストテレス哲学や近代以前に出てくる天体をつくるエーテルとは別物なので注意。
さてこれと並行してマクスウェルによって電磁気の理論が整備されるにあたり(電磁気学の発展は数式かそれなりの説明が必要になってくるので割愛)、光と電磁波の速度が同じであり、光も電磁波であることを示しました。これヘルツによって実験的に証明されます。
以上のような流れから光の波動性が強調されるようになってきて、それはエーテルという物質を介して伝わるものだとされたわけです。(ちなみに20世紀に入るとさらに粒子性もあるとして二重のものだとされ量子力学によって解決されるのですが、ここも話が長い、
というか難しいので割愛します)
で、光が波だというなら当然それは他の波と同様に静止している人と動いている人にとって見え方は異なるはずだろうとなるわけです。波だとわかりにくいかもしれませんのでボールで説明しますが――ある位置から特に動かずにボールを投げると放物線を描いてそれは移動します。一方でそのボールと同じ方向にまったく同じ速度で動いている車から見ると放物線というわけではなく、上がっていって下がるだけという運動に見えます。逆に車に乗ってる人がボールを投げたとき、(空気の抵抗を考えなけば)その人にとっては放物線に見えますが、静止している人にとっては車の速度分加速したボールの運動が観測されます。これは「それぞれの系にいる人にとって、他の系にいる観察者から見ると動きは別に見えるが、同じ運動法則が適用される」というガリレオの相対論と呼ばれるものです。で、これと同じことが光でも起きるだろうとされたわけです。
ところがこれを実験したところそうはならなかったのです。これは有名な実験でマイケルソン‐モーリーの実験と呼ばれています。実際の実験とは異なりますがここはわかりやすさを優先させてもらいます。ある動いている船から光を発しました。それとは別の止まっている船からも光を発しました。ガリレオの相対論に従えばお互いに観測する光の速度は異なっているはずです。ですが実際に観測された光の速度は同じだったのです。

まあ、ここでみんなしてアインシュタインの相対論を嫌いになる事例をw というか何で一般向けの科学雑誌にはこんな風にわざと難しくわかりにくく書いてあるのかわからないのですが(苦笑)
動いている電車があります。ここに乗っている運転手Aがランプを点灯させたとします。その光は同じ電車に乗っている乗客Bには当然光の速度で届くわけですが、近くの道で立ち止まっていた人Cには電車の加速分は含まれず同じように光が届きます。また電車と並行し、しかしそれよりは遅く走っていた車の運転手Dには電車と車の速度の差分が生まれて到達するはずなのにやっぱり速度は同じなのです。つまり何が起こるかというと、次の図のようなこと。
b0118096_45221100.jpg

――絵心ないとか言うな!! 気にしてるんだからorz(実際にはPCで何をどうやったら描画できるのか知らないのです、というかそれはそれでダメな気がしますorz)
えー、ともかくして。Aから出された光は他のB、C、Dに届くわけですが、普通に考えて届く順番(光が見える順番)はB、D、Cだと思われます。ですが実際にはBもDもCも同時にAの行った光の点灯を観測します。
「ねー? 意味わからないでしょー?」 ← これがそこらにある一般向け科学雑誌の説明。明確にはこう言わないだけで、『お前の自慢がしたいだけかぼけえええ!!』と常々思っている私がいたりする。

とりあえず紹介はしましたけどこれはスルーで。大事なのはただ単に「どうやって動いていても光の速度が同じに見える」ということです。
これをアインシュタインは「え、じゃあそういう実験結果出たんだったらそれ決まりにしちゃおうよ」と言って“光速度一定の原理”とニュートン力学では含められなかった波動に関しても“どの系でも同じ物理法則で物事が記述できる”としたわけです。この後者のことを一般相対論と言います。これだけ。
まあ実際にはここで放置してたらただの言いっぱなしなのでw アインシュタインはここから出発していとも簡単に他の現象を説明してみせるのです。この際に出てきたのが『動いていると空間や時間が歪む』というものでした。これによって光の速度は常に一定ということが保たれるのです。(なおよく光の速度は超えられないというのがありますが。これは運動速度が速くなればなるほど質量が増し、時間が歪んで遅くなるという理屈によります。計算してみると光速と同じになったときの物体の質量は無限大になるのでようは動けなくなるというそういうことです)
またアインシュタインの相対論によれば時空が歪むということで、エーテルの存在も特に要らなくなり空間自体にそういう媒体としての性質があるとしました。
ま、これがアインシュタインの特殊相対性理論というやつです。おかしな説明とか省くとわかりやすくなるかと思います。


で。話は戻ってタイムトラベルに。
ここで重要なのは「動いている物の時間は遅くなる」ということ。これは実際の生活ではまず経験できません(何やら動き続けてると長生きできるとかいう教えが色々なところであるようですが、普通の動きではまず意味がない上にその運動の時間分損をしているという?)。これは光の速度は秒速30万kmとかいうとてつもない速度だからですね。しかし仮に光の速度にとても近い速度で運動できたとして、(地球上では7回転半してしまうので)宇宙空間に向かって飛んでいきそして地球に帰ってくるとします。その人にとってはたかだか3年とかの宇宙旅行だったのが、その人の時間の経過は遅れているので地球に帰ってくると80年とか経っていたという『ウラシマ効果』というものが起こります。その旅行者は77年先の未来の地球に行けたということですねー。
…………まあ、最初に言いましたけど過去には戻れません。ついでに言うならその人も3年は宇宙旅行してる必要があるわけで、私たちの思い描く「タイムトラベル」とは違いますね(汗)
ただしこれは技術的には大分可能性が出てきました(やり方はずっと前から言われていたんですけど)。宇宙には太陽風という太陽からの電磁波が溢れています。これを傘のように開いたもので受けて推進力にしようという計画です。これはNASAなどの宇宙技術を開発している機関が進めており、実は方向転換まではもうできちゃってます。まだまだ光速に近いものにするのには時間がかかりそうですが、コールドスリープによる擬似的なタイムトラベルよりは現実味が出てきましたね。



さて、ここまでが“古め”のタイムトラベルの話。次にもう少し新しいものに。
実は素粒子レベルでは『ホール』というものが見つかっており、これを使うと瞬時に別の場所に出現することがわかっています。ただこれはまだ素粒子なんていうとても小さいレベルでしか見つけられていないのですが、仮にこれが人や人の乗った宇宙船も通れるようなものが見つかれば「ワープ」が可能。当然光速すら超えられます。今実はこれを探していて、理論的にありえるのではないかとも言われてます。まあ、まだここは議論の途中。



ではでは? 最新のタイムトラベルの話いきましょうか。
ま、これらは物理の方ではなくSFの方から出てきてるのですけれどね。前々回簡単に紹介した『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズでも未来人が出てきてます。また他の作品でもタイムトラベルによる過去の改変をうまく説明するような案が出てきているのです。
まだまだこれらは空想上のお話。でもそもそも「タイムトラベル」を打ち出したのは『人類以前のパリ』Paris avant les homesなどのSF作品であることをお忘れなく。ま、どれが最初の作品であるかはまた色々文学史上で議論があるようですけど、そっちは物理以上に混沌としてるので省略です(苦笑)




以上のような感じで現在「タイムトラベル」というのは論じられています。
物理学の方では過去には行けないが未来には行けるだろうとされていて、それが現実味を帯びてもいます。ただしそれは一方通行です。
文学の方ではまだまだ空想の域を出ていませんが、『もしかしたら実際にあるかもしれない』というような説得力あるものもいくつか出てきました。これはそのうち本当に実現するかもしれませんね。何せ「パラダイムシフト」がある可能性がありますから。
by zattoukoneko | 2010-10-09 04:53 | 物理 | Comments(1)
Commented by zattoukoneko at 2010-10-09 04:58
久しぶりに物理ネタ書いたー!
というかただ単に色々と繋がりがよかったので入れてみただけだったり?!

前々回『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズ扱ったし、日本ではJAXAのはやぶさが未だに話題。海外でもこぞって宇宙ネタを記事にしているのでどんどん情報が入ってくるのですよね。

また同じく「タイムトラベル」ネタを使ってる作品である『夏のあらし』の紹介でもやろうかと思いつつ。でもあれ原作が未完だし、どう説明しようかなー、と思案中。
いずれはやると思うんですけどねー。

ということで今回はこのくらいで。ではではー。


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