人は他人を理解することができるのか③

さて、「人は他人を理解することは可能か否か」というテーマでの四つ目の記事となります。内容としては三つ目ですねー。今回は現在の国際情勢に関してとなります。
とは言っても世界は広い! とてもではないですけど全部の国を見ることなどできません。(←記事の分量の問題だけではなく、書き手の能力を軽くオーバーしております)
てなわけですので注目すべきところに絞るしかないだろうと思います。そうなると各国の思想が最重要テーマになるだろうと。日本では思想というと宗教と別にしがちですが、これが一番大きな要素となるのでここを中心的に見ていくことになるだろうと思います。(ちなみに日本だってきちんと宗教に基づいて今の国民性がつくられているのですよ、やっぱり。なのでこれについては後述します)


では本論に移りましょう。
ここ最近の日本のニュースでは、ワールドカップ・梅雨前線による九州四国地方の土砂災害・参議院総選挙・口蹄疫・ついこの間は茨城を中心とした関東圏の雷雨・そして東北などにも消防庁より大雨に注意との報告が出されました。(え、予想タコのパウルくんによるロシアの大統領選挙予測? 知りたい人はググれ!)
日本だとやっぱり国内のものが中心ですが、他国の大手ジャーナリストたちは「ワールドカップ? 何それ、おいしいの?」と完璧スルーです(実際には少数ながら記事はあります。ただし政治と絡めてですね。「北朝鮮はワールドカップを利用して国内外に自国の力を見せようとしている」というのとか。そして実際にその通りで、大敗しそうだと感じた瞬間に見事に途中で国内での中継をやめたそうですが)。では何が今話題になっているかというと、一番多いのは中東関連です。未だにアフガンの方では様々な問題が起こっています。そこにアメリカがどう関わっていくべきかなんてことが各国メディアで論じられているところ。またメキシコの石油流出もかなり問題視されていますね。現在はBonnieが接近中ですか。これによる影響が懸念されています(なお速報。7月28日の夜に予期していたよりも被害は早く収まるのではないかという記事が出てきてます)。
Bonnieなんていうのは自然災害ですからこれに関してはここ数回のテーマとは外れますね。なのでここは飛ばします。見るのは中東やアメリカの関係についてです。
現在9.11テロ事件から中東の問題は発生したと考えられがちですが、実際にはずっと昔から根深い問題だったわけですよね。これに関してざっと触れていこうかと思います。
そもそもアメリカにはWASPなんて言葉があるくらいで、自分たちを絶対視する傾向が強いです。――と書くとアメリカの人に怒られそうですねw 別に彼ら彼女らは自分本位で自己顕示欲のかたまりなわけではないです(全員に当てはまらなかったりもするわけですけど……)。ただアメリカというのはコンプレックスという負の方向から自分たちのアイデンティティと国民性を形作っている節があります。アメリカはヨーロッパから移住してきた人々によってつくられていますし、国ができてからの歴史が浅いというのもあります。日本も明治維新Meiji Revolutionによって歴史が転換されたとされますが(Revolutionとはそれまでの歴史や社会が全部覆って新しいものになるという意味です)、よくよく調べてみると繋がっている部分が多いのですよね。ですから『革命』とは言いがたい。確かに和算とかは捨てられているわけですが、武家の血筋たちはその後政治家や科学者を目指すようになって、まだ階級の概念が残っています。今でも名家っていうのは実際にありますよね? また明治維新直後には様々な思想家が西欧の知識・技術を導入する際に日本人の思想は維持したままそれが可能なのかどうかを議論しています。日本の精神を維持したまま西欧近代科学/技術を導入する考え方のことを「和魂洋才」といいます。で、この反対に「洋魂洋才」(という言葉はないのですけど)を唱えたのがかの有名な福沢諭吉の『学問のすゝめ』となります。
えー、日本の話が長くなってきちゃいましたので軌道修正。
アメリカは移住してきた際に、では何を基盤としていたのか? さすがに何もない状態から始まるわけではないのです。移住してきた人たち、ということは元々どこかに住んでいたわけなので何らかの背景を持っていて当然だと言えるでしょう。ではそれはどんなものだったのか?
実は前にいくらか触れた記事があるのですよ。なのでそちらも参考に。数行にまとめたものも後で書きますけど。人権平等問題
この記事で述べているようにアメリカという国は「アメリカ化」というものによって成り立っているような国です。そしてそれによって他国へも「フロンティア」を広げているということになります。
また自分たちのアイデンティティを揺るがされると一致団結して暴徒化するというのは、9.11など以外でも時代を遡ればいくつも事例が出てきて、有名なのではKKK(Ku Klux Klan)なんていうのがあります。簡単に言うと白人至上主義を掲げた秘密結社のことですが、普段は黒人とかと普通に同じ街中で生活しています。が、黒人(後には他の有色人種や白人すら含まれます)が自分たちの暮らしを脅かすようなことをしたと感じると白い三角頭巾を被って集団で暴行を加えるという人々のことです。よくあるのは「ある黒人に白人の女の子が襲われた」なんて噂が流れると一気に結束します。
こういうのがアメリカという国の背負っているものとなります。ただし現在、いくらか変わりつつはあるのです。多文化主義や文化多元主義なんて考え方も出てきていますし、アメリカ化を試みた一世の日系人の孫たち(なので三世ですね)が自分たちの起源を探ろうと試みたりしています(なおアメリカ史に関してはこの本から注をひたすら辿っていくといいかと思います。アメリカ研究入門 あ、ちなみに全部で数百という文献がリストアップされます。これ「入門」と書いてありますし、文献の入手先なんかに関しても詳しく書いてあるのですけど、詳しく勉強するにはやはりそれだけの量をこなさないといけないということですね。まあ持っていて損はしないのでご紹介)。
でもまだ「いくらか」ですね。9.11のような大きな事件があると長いこと結束してしまいますし(反戦派の人たちがある程度の数になるまでどのくらいかかったか思い返してくれればよいかと)、現在でも中東や北朝鮮などとの問題を抱えたまま、しかも深刻化させていっているわけですし。
もちろん自分たちを防衛するというのは、人間として自然な感情です。攻撃・侵入をされたと考えば勝手に体や感情は殻をつくるなり針を生やして反撃することになります。ただそこに他の要因が絡んでくるとそれが過激になったり長引くこととなります。アメリカは先に説明したとおりですが、イスラエルの情勢なんていうのもこれに当てはまると考えられます。
これは単純な説明でありもっと多面的に見なければならないものなので、以下に紹介するのは一つの側面でしかないと思ってください。
エルサレムというのは多くの宗教にとって聖地となります。ユダヤ教、イスラム教、仏教など大きなものを見るとすべて聖地とされていますね。で、一番大きなのは「パレスチナ問題」などと呼ばれるやつですね。
エルサレムを首都とする(ただし国際的には認められていません)イスラエルは国連決議181によって、1948年5月14日に独立宣言を出してできた「ユダヤ人主導」の国家です。この「ユダヤ人」および「ユダヤ教」というのがとても重要なファクターとなります。
ユダヤ教というのはキリスト教の前身ですね(どうでもいいですけどキリストは当然キリスト教徒ではないです。ユダヤ教徒なので間違えないように)。ユダヤ教は紀元前1280年頃にモーセがエジプトの社会的な下層階級の人々(ヘブル人と呼ばれます)を国外へ集団脱出させる「出エジプト」と、その途中でシナイ山というところでヤハウェと「モーセの十戒」を結んだことによりできたものです。
「モーセの十戒」に関しては名前は皆さん聞いたことあると思いますが、中身は知らない方が多いでしょうね。十項目なので全部羅列してもいいのかもしれないですけど、重要なのは二つだけなのでそれのみ掲載しておきます。
1. 主(ヤハウェ)が唯一の神であること
2. 偶像を作ってはならないこと
この他に八つ項目があるわけですが、それらすべてを含んだ十項目を守れば永久に未来永劫――とは使ってはいけないので――永遠に民族は繁栄し続けるというものです。
モーセに率いられた人々はカナンという場所に安住の地(約束の地とも呼称)を得ます。しかし紀元前587年に新バビロニアによって滅ぼされ、これまた有名な「バビロン捕囚」が起こります。この後ユダヤ民族は安住の地から引き離され流浪の民となります。彼らは他の民族らから酷い差別を受けましたし(『ヴェニスの商人』など)、一番有名なのはヒトラーによる大虐殺ですね。
バビロン捕囚の最中からすでにユダヤ教徒は考えていたことですが、自分たちは戒律を破ったからこんな目に遭っているのだとそう考えるようになりました。
具体的にはユダ王国の国王らが戒律を守らなかったと考えています。有名なのはマナセ辺りでしょうか? 他の神を崇拝しましたし、偶像もつくってしまいました。これは先に挙げた二つの戒律に反しており、バビロン捕囚を起こすことになった張本人であるとすら言われています。
こうしたことがあった結果、ユダヤ教徒は新しく自分たちの信仰について考え直し、唯一神の信仰を必ず守るなど自分たちに厳しい縛りをかけます。そしてそれを守っていればいつかは安住の地へ帰ることができるのだと考えるようになります。
で、それが達成されたのが先に紹介した第二次大戦後の1948年のことなわけです。(途中シオニズム運動とかありますけど割愛)
しかしこれによって民族間の闘争が起こることになってしまいました。ユダヤ人たちを無理矢理押し込めた結果、そこに住んでいたアラブ人たちが追い出されます。これがパレスチナ難民と呼ばれているもの。彼らは反イスラエル主義となり過激派となります。これがパレスチナ問題。
そしてここにアメリカやらロシアやらがどんどん介入してきてるのですよね。戦争があれば国が儲かるというのは第一次世界大戦で消耗戦を経験するまで信じられていたことですし、アメリカもベトナム戦争で失敗するまでは勝ち続けだったわけです。そしてまだそれを信じる人もいるということですね。で、それら圧倒的武力に対抗する人たちは自爆テロをするということなのですよね。これ、『FINAL FANTASY X』の紹介で触れてますね。 前々から注目をしていた問題ということになるわけですねw FINAL FANTASY X 紹介(ネタバレ・注意)
ここまで書いてきた内容やFFXの紹介記事を見てきてくれると大体の宗教の状態とかわかるかと思います。これじゃ全然足りないのですけどね(汗)
ざっくりとまとめてしまえばそれぞれの思想を互いに理解するというのは難しいことです。ユダヤ教徒たちは一神教を絶対に守ろうとしている。ならば多神教の人々とはそうそう簡単には打ち解けることができません。不可能だと決め付けるには早急だと思います。ここでの論はまだまだ浅いですから。もっとじっくりやらなければならない。
ただここにさらにそこで生きてきた環境が個々人で異なるわけですから他人を理解するのはさらに難しいこととなるのかとも思います。ここには①と②で書いてきた内容も含まれますので後でもう一度まとめなおしましょう。
日本のことも気になりますよね? だって私たちはここ日本に暮らしているのですから。自分たちのことを知らずに(つまり自分がなくて)どうして他人を知ることができようか!、ということです。
ただこれに関してはお守りの話と結びつけて少し触れています。それがこれ。お守りの中はなぜ見てはいけない?
ここでいくらか触れていますが、日本人はありとあらゆるものに神性を感じ取ります。「八百万の神」というやつですね。つまり多神教に分類されます。ただこれは他のヒンドゥー教とかと違って明確な神がいるわけではありません(スサノオノミコトとかいるにはいますけど、今触れているのは別の「神」)。なのでこれを他の宗教観、特に明確な神を持っている人に理解してもらうのは難しいです。海外の人とかに説明すると一応興味は持ってくれるのですけどね、そこから先どこまで「理解」や「納得」になるのかは難しいところかなって印象をよく持ちます。(というか今の日本人でもそれが伝わらないことが……。特に都会育ちの子たちと話すと夜空の星を見上げたことすらないという)



さてそろそろ全体のまとめ。
人には人の背負っている社会・文化・歴史・道徳観というものがあります。それは主に育った環境に影響を受けてくるものだと考えられています(遺伝の要素もあるのがわかっていますけれど今回は省略します)。大きくは国などが関係するのでしょう。あるいは故郷や家庭。それらの影響を大きく受けつつ、さらに個人は個人でやはり別の人生を歩んでいます。そうなればあたりまえのようにお互いの意見や立場は違うはず。
ただだからといって私は個人主義を勧めたいわけではない。むしろ反対をする。個人は「“個別”の人」という意味ではない。「“各々の個=アイデンティティ”を持っている人」という意味である。そしてだからこそ他人とぶつかるし、その上でお互いを尊重して意見交換をすることができる。それができれば人は、苦しみつつではあるが、きちんと成長することができると私は考える。
まあ、ただ残念ながら今の人たちの多くは肝心のアイデンティティがなかったりしますけど。気付くと周りの意見に流されて、自分の立ち位置から浮いちゃってしまう人もいます。本来なら“流される”ときでもそこには何かしら自分の心の揺れがあるはずだし、そしていくらか考えるのだと思うのですけどね。それに気付けない(というか気付くのを放棄しちゃった)人がたくさん出てきてるようです。こういう人には何でもいいから感動したものがあったらまずそのときの気持ちを大事に抱えておいて欲しいなと常々思います。考えるのはその先。まずは人間としての心をしっかりと持つのが重要なのだと考えています。
ということで記事タイトルの「人は他人を理解することができるのか」に対して答えをば。
   ぶっちゃけ不可能じゃないとは思うけど、めっさ難しいっす。
おおぅ……ここまで内容をひたすら難しく書いてきたのに一気に台無しに(汗)
いや、オチではありません。ここまでの記事を頑張って読んできてくれた方にはわかるかと思います。つまり「ここに書いている人がいます」って気付いてもらえたでしょうか? この人は何を考えてるの? それ以前に何を感じてるの? そういうことを考えることが他人を理解するということだとここまでで頑張って書いてきたわけです。もちろんいきなりそんなものを読みとこうなんてのは難しいことだと思います。焦ると心を忘れ、頭で考えるだけの機械のようになってしまいますから。
ですので何でもよいのでまずは感じるところから。「何やら考えてる人がいるなあ」とか「おかしなこと書いてる人間だなあ」でもよいわけです。そこに『人』って入ってるでしょ? それがきっと他人を理解するための第一歩であると信じて結びとしたいと思います。

ちなみにオチはコメント欄にて(ぇ? オトすの?
by zattoukoneko | 2010-07-29 07:52 | 雑記 | Comments(1)
Commented by zattoukoneko at 2010-07-29 08:07
オチいきまーす。

私は小説なぞ書いているわけですけど、その理由の一つが今回雑記として書いてきたものなのだろうと思っています。
小説には架空のものではあるけれど「人」がいる。私は彼ら彼女らと対話をして色々学ぶことがあるし、また読み手にもうまくいけば彼ら彼女らのことを理解したいと思ってもらえるのではないかと考えています。
なお「萌え」というのは空想上のキャラクターを心の中で大事にするという意味で、感情移入の上位版だという感じ。一時の感情移入ではなくずっとそのキャラを大事にするというのが「萌え」ですね。
私はキャラクターを生きていると思って描いていますし、なれば読み手の心の中にも彼ら彼女らを住まわして欲しいなと考えています。
それを達成するのはとても難しいことですが、でもこれは不可能じゃない。何故なら私自身の中に何人もの人(実在の人も含めて)が生きているから。
そういう経験を実際にしているので、今度は自分がそういう立場になりたくて、ただしじっくり考えたくて研究活動したりここの記事も書いているのだと思っています。

ま、すべて私の背景ですから全部は個々に分けられないのですけどね。


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