成績の伸び方・ブレイクスルーとは

新しい年度が始まりましたね。特に受験生応援ということで、j今回は成績の伸び方についてのお話です。
で、いきなりその解答をお見せします。図で見ると次のようになります。
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まず勉強のし始めは順調に伸びるのですが、すぐに停滞期に突入します。ここではほとんど成績は伸びません。
が、かなりの長い時間頑張って勉強し続けると急に成績が上がります。それは本当にもう爆発的な上昇です。これを「ブレイクスルー」と呼んでいます。
今回はそのメカニズムのお話や、それをいかに効率的に起こすかという受験生向けのお話となります(特に今年や来年大学受験をする高校生は今自分がこのグラフのどこにいるのか、話を聞きながら位置の把握をしてください。まずは自分の立ち位置を知ることこそが最も大事で、それによって今後の自分の方針、ゆくゆくはブレイクスルーが起こせるかどうか決まります)。


さて、最初の成績の伸びですが、これが起こる仕組みは単純です。数学でいえば公式を暗記したりそれを使ったり、英語だったら基本的な単語を覚えていっている期間に相当します。ようはそれまで勉強していなかったから、覚えた分だけ伸びるということです。この記事をupした春先ならばまだしも、夏にも順調に成績が伸びているようだったら――それは危険信号です。なぜならあなたはまだこの準備段階にいるということですから。
で、順調に伸びていった成績は、しかしほとんど上がらなくなります。どんなに勉強しても、どんなに参考書を読んで問題を解いても、せいぜい数点の差しか出ないのです。大抵の受験生はここでもう諦めてしまいます(もしくはここへすら辿り着けないか、です)。
ですがそこで諦めずに勉強をし続けると、いきなり成績が急上昇します。偏差値で言えば20近く伸びます。これは体験する当人ですらびっくりするはずです。本当にその瞬間、視界が一気に開けたことを自覚します。これは体験したことのある人にしかわからない感覚ですね。

ではなぜ成績は長いこと止まり、そしていきなり急上昇するのでしょうか?
実はこれに対しては明確な答えが残念ながら出されていません。ただそれを経験してきた人々がおり、そういう現象がすべての人に起こるということがわかっているということです。そのためほとんどの塾でこのブレイクスルーを確実に起こさせることのできる講師というのはいないですし、この成績の停滞・急上昇の話をすることすらないのです(もしあなたのことを担当してくれている先生が、単純に成績の上がり下がりしか見ていなかったら、その人は駄目な教え人です。他の良い人を探すことをお勧めします)。
さて「このブレイクスルーのメカニズムがわかっていないとどうしようもないじゃないか!」と途方にくれる方もいるかもしれません。ですが経験者や学者によって一応の仮説は立てられています。またブレイクスルーの瞬間を明確に自覚し、その体験を記憶している人は曖昧ながらもそれを説明できます(もちろん主観も入ってきてしまい、むしろこのために学者間・教育者間の意見の一致が困難になっているのですが)。
以下は現在までに提唱されてきている仮説と、私自身の体験を元に記述します。そう、私もブレイクスルーを体験し、そしてそれを明確に覚えている人間です。また意図してそれを起こしました(実際に起こるまでは不安でいっぱいでしたが)。まだまだ曖昧なところが多いのですが、話を聞くのは無駄にはならないでしょう。一つの意見として耳を傾けてもらえると何かの役に立つかと思われます。


まず停滞とブレイクスルーはどうして起こるのか、一般的に言われていることをお話します。
勉強している科目・学問は、分けようと思えば細かく分けることができます。実際高校の数学の教科書を見ると二次方程式、三角関数、ベクトル、確率、微分、積分といった具合に分かれており、またこの中でさらに三角比、正弦定理、余弦定理、加法定理、二倍角の公式、積和の公式、和積の公式などと細かくなっています。数学だけでなくあらゆる高校の教科書の記述はそうなっていると思います。
これは確かに勉強のし始めには役立つのです。それぞれ別個のものとして暗記してしまえばいいのですから。ですがブレイクスルーを起こすのには大きな弊害となっています。なぜなら学問というのは「全体的な理解」が必要だからです。そして実際に受験問題というのは(難関校にいくほど)個別の公式だけでなく、分野の総合的な理解、さらには分野をまたがった理解ができているかを問われます。
実はこのブレイクスルーというのはこの「全体の理解」がいきなり頭の中で起こるから生じる現象なのではないかとされています。人はどうしてもいきなり全体を見ることはできません。どうしても見たもの体験したものの、その個別のものを知識として持ちます。これらは結びつくことなく、まるで脳のあちこちに浮いているかのように点在しています。ですがそれらがある程度揃い、そこに何かの影響で知識を結びつけるような力が加わると、いきなりネットワークができるのです。それはあたかも一つの分野、学問を空から俯瞰しているような感じになります。そのためブレイクスルーを体験した人は「急に視界が開けた」ように感じるのです。

よってブレイクスルーを起こすためには「全体の理解」が必要であり、そのために知識を蓄積していくという停滞期を乗り越えなければなりません。
が、これはとても辛く、そして確実にブレイクスルーを起こせるというものでもありません。ほとんどの受験生が知識をばらばらに持ったまま本番を迎えてしまいます。
では実のところこの停滞期、というのはどのくらいの期間を持っているのでしょう?
割と初期に教育の方面でこのブレイクスルーを前面に押し出してきたのが留学志望者向けの雑誌である『English Journal』を発刊している「アルク」という会社でした。アルクでは最初は英語全般ではなく、リスニングにおいてそのような現象があるとして説明しました。英語のテープや映画を観ていても、それを毎日数時間続けても英語は聞きとれるようにはなりません。ですが3~6か月ほど耐え忍んで聞き続けるといきなりわかるようになると『English Journal』にて取り上げました。ブレイクスルーに関してはすでに学者間でも話題にはなっていましたが、このアルクの動きが(私が確認している範囲では)初期のものです。
けれどもうこの時点で愕然としている受験生もいるかもしれません。一日数時間リスニングを行なって、早い人でも3か月、よくても半年かかるというのです。そして受験英語はリスニングだけでなく、長文読解や下線部訳などがあり、そして受験科目は英語だけではないのです。単純に全分野で半年かかるとして、全科目で一度ブレイクスルーを経験するには何年かかるでしょうか?
なお(追い打ちをかけて申し訳ないですが)ブレイクスルーはリスニングでは起こりやすい部類です。期間も短いです。大学受験レベルなら長いものでも二年ほどかければなんとかなりますが、大学で習うもの、そして専門領域になってくると短くて一年。長いと十年以上かけて起こすものがあります。(私の教わった先生――相当トップクラスの先生ですが――ですら「ようやくつい最近20年かかって自分のやっている分野のことがわかるようになったよ」なんて言ってたくらいです)

ここまで読まれた受験生はもう自棄になっているかもしれません。ですがまずはその事実を知ってもらわなければなりません。そして自分の前にはそんな大きな壁があるのだと認識してください。そしてそこで諦めなければ――それこそがまずブレイクスルーの第一歩です。

とはいえ物理的な時間として各分野に半年、そして科目全体の理解となるとさらに半年から一年かかるとなると、どう考えたって現役合格は無理な話です。でも実際には難関校へ受験生たちは結構な数が現役で受かっています。彼らは一年から高校の三年間(私立とかだと中高の六年間)でブレイクスルーを見事に起こしています。こうした人々は(自覚的にか無自覚的にか)きちんとブレイクスルーを起こしているのです。彼らは別に特別天才なわけではありません。ですから一般的な受験生(さすがにやる気のない受験生は無理ですが)ならばそれを真似ることが可能です。そして私自身がきちんと自分でそれができることを確認しました。そして効率的に進めればこの四月、五月からでまだ間に合います。
ちなみに私自身の春頃の成績をお伝えしておきます。偏差値30台でした(受ける模試によっては60近く出ることもありましたが、でもそれでも平均よりちょっと上。そしてそういう模試はレベルの低い方がたくさんいてくれるから相対的に私の偏差値が上がっているだけです。頭のいい人はそんな模試受けてこないんですよね。これについては「有名私立の内部事情」という記事で少しお話しました)。でも私は――入った大学や学部を教えることはできないですが、少なくともこれまでの記事で取り上げてきたレベルの難関校に現役で合格しています。そうした人間の経験談や学習計画の立て方は(まったくそのまま模倣するのは無理でも)参考になるのではないでしょうか?

ではここからはどうやればブレイクスルーが効率的に、より高確率で起こせるのかという話に移ります。これは――私がどうやって約一年間の計画を立てていったかを一事例として挙げた方がいいでしょうね。
私はまず高校二年生の十月終わり頃から受験態勢に入りました。でもまだこのときは部活が忙しかったですし、何を勉強すべきかわかりませんでした。ただ少なくとも学校の先生たちが提示してくる課題や参考書だけでは無理だということはわかっていました。ですので参考書漁りを始めたのです(参考書の紹介記事が去年のその頃に書かれているのはそのためです)。無論ただ片っ端から有名参考書を集めればいいというものでもありません(一番人気のチャート式は難関校受験にはあまり向かないとお伝えしました。理由もこれからの説明で再度わかることでしょう)。それは私が実際に難関校の二次試験の問題を数年分先生などからもらっていく中で感じたことです。難関校ほどあらゆる分野にまたがった広い知識、そしてそれを理解して扱えるようになっていることが求められているということはわかりました(問題は当然のように解けませんでしたが)。この過去問の調査でわかりましたが、難関校ほど「全体的な理解」が必要だということが見えてきました。そして分野をどんどんまたがって理解しなければならないことも判明してきました。そんな中で「ブレイクスルー」のことを知ったというわけです。アルクの『English Journal』やその他の本の中でその存在を知り、専門書の方まで手を伸ばしてその仕組みを調べました。するとそこには「知識が結びついて大きな理解に繋がる」と書いてあるではありませんか。私は「運が良かった」と思いました。早い時期にブレイクスルーという存在を知り、また自身が過去問を見ていく過程で「全体的な理解」が必要だと感じていたところでしたから。となれば参考書はどのようなものがいいのか見当がつくというもの。ようは「分野をまたがって全体を繋げるようにして書いてある参考書」がブレイクスルーのためにはいいということです。もちろんいきなりそんな「全体を見ている本」なんて手が出ません。まだ私は停滞期にすら入る前だったのですから(特に『解放の探求』なんてのは分野がいくらか分かれているとはいえ難しすぎます)。だから基本的な知識も入れられているようなものも勉強に使用する参考書のリストに入れていきました。数学では『細野数学』なんてのがその一例ですし、英語であれば『速読英単語』なんてのが長文を読むという「全体」もできてかつ基本の文法の確認もできてよい参考書でした。(これらの参考書のリストや使い方については以前書いたものですので、そちらの記事も一緒に確認してください)
そうして四月の末頃、ちょうどゴールデンウィークのあたりに一年間の計画を立てていきました。一体何の参考書を使うのか、そしてそれはどういう目的で使い、後々の参考書に繋がっていくのかを書きこんでいったわけです。時間はもう10カ月を切っています。ですからいかに効率よくブレイクスルーを目指すかがその計画表の目的です。また勉強するのは一科目ではありません。当然物理的な時間というものがありますから、それらを組み合わせて調整をはからなければなりません。ですから私が用意したのは全科目を総合した計画表と、各科目の計画表です。それぞれA4の紙一枚ぎっしりに勉強期間と、参考書の繋がりを矢印で書きこんでいきました。
当然これは「計画」です。予定していた時間に参考書が読み終わらないことも実際に起きましたし、新しくいい参考書を見つけることもあります。そうなれば計画表は書きなおしです。ですがその第一段階の計画表がなければその後の変更すらままなりません。なのでこの計画表はかなり本気でつくりました。準備は上述のように十月から始めており、構想も高三生になった頃には練り始めました。そのうえで計画表を書くのに一週間以上かけ、そこから勉強時間などの修正を行なって、半月かけて完成させました。時期はもう五月の半ばです。
この計画は正直賭けでした。そもそも「ブレイクスルー」というのがわからないのです。専門書でもまだ曖昧で、そして何より自分自身がそれを体験していないのですから。失敗すれば最初の段階の基礎知識すらおぼつかない状態で受験に突入する可能性もあったわけです。ですが――私の目論見は成功を収めます。まず最初にブレイクスルーを起こしたのは化学でした(これは私の最初の計画にあった通りです。化学はもともと得意だったのと、理論、無機、有機と分けやすいからです。数学みたいにいっぱい分野があって、なのに問題はそのいくつにもまたがって出題される、なんてことがほとんどない科目でしたから。なので化学で最初のブレイクスルーを体験しようと計画したのです。ただし、いくら理論、無機、有機と分かれているからといって、それを別個にやるのはもちろんNG。これは前回の「氷の上はなぜ滑るのか?」で少し触れたように、無機や有機でも深く知ろうとすれば理論がかなり重要になるからです)。
この最初のブレイクスルーを体験したのは八月ももう終わって九月に入る頃です。ここまでかなりの時間がかかりました。またブレイクスルーも無機といういくらか限られた領域での話です。が、それでもよかったのです。「ブレイクスルー」というものが確かに起こるということが確認できました。そして私はそれを「意図的に」引き出すことに成功したのです。となれば他の分野にも同じ方法が適用できるはずです。実際それは上手くいきます。十月に入る前に有機化学でブレイクスルー。十月半ばで国語の現代文でブレイクスルー。ほぼ同時期に数学の方でも発生。十一月には英語の長文読解と下線部訳でも確認。年末に化学全般で二度目のブレイクスルー。年明けに英語のリスニングでブレイクスルーを起こし、生物全般でも発生。数学は二度目へ。(そしてここは計画がずれてしまいましたが)センター終了後に英語でさらに大きく成績の上昇。化学、生物でも二月には何度目かのブレイクスルー確認。かなりぎりぎりではあったものの、きちんと受験本番には間に合って合格できました。

さてブレイクスルーの概要はこんなところですが、ではどう計画表を立てるのが気にかかるところかと思います。私の計画表のすべてを公開することは不可能ですが(なにせ今手元にその計画表はないので。また修正も何度もしたから量が膨大なのです)、以下では説明のしやすい英語の計画の大まかな内容をお話ししておきます。何かの参考になれば幸いです。

そもそも私は英語が全然できませんでした。部活の顧問の先生(英語担当)に「お前は語学の才能がないから絶対に文系に行くな」と言われたくらいです。先に春の模試で偏差値30台と言いましたが、その中でも一番悪かったのが英語です(34とか、そんな値を出した気がします)。
で、私の計画は次のように立てました。
まずリスニングには確実に時間がかかることはわかっていました(アルクの記事を読みましたからね)。だからこれは早くやらなければなりません。ですが最初の私は文法も単語も危うかったのです。その状態でいきなりリスニングに取りかかっても時間を浪費する危険性があると判断しました。
かといって文法書や単語帳をやっている暇なんてありません。なにせ猶予はもう八カ月程度しかないのですから。
ですので私は長文の全訳と下線部訳を最初に取り組むものとして打ち出します。特に長文は文章を読むという実践訓練になります(多読が英語の成績を上げるのにはよいということは参考書紹介の記事で書きました)。でもまだ速読していくには文法も単語もわからない。だから「全訳」という形をとります。これをやりながら文法と単語も確認していくというわけです。つまりここは合わせることで時間の短縮を狙ったということです。
長文の全訳はおもに休日の午前中にやりました。目標は一ページのものを二編。午後はブレイクスルーを早く起こしたい化学と、時間のかかる数学にあてる感じです。(ただし本当に英語ができなかったので、実際に二つ全訳する頃には午後の二時とか三時とかになってました。多分このときの読みで失敗したので、受験ぎりぎりになったのだと思います)
この長文全訳に関しては六月末までと制限をかけました。受験問題には「全訳」は出ないですから。なので七月からはもっと実際の問題に近いものを取り扱っていきます。ここから長文の演習(このとき足りないと思えば全訳に戻りました。ここは計画の変更点です)、および下線部訳。そしてリスニングを入れていきます。リスニングには六カ月かかると思っていたのでこれ以上遅らせるわけにはいかなかったのです。
八月に入るとさらに英作の勉強も入れていきます。この頃には長文全訳なんて時間のかかるものはなくなっているので、追加でどんどん入れられると踏みました。
なお下線部訳でもリスニングでも、そして英作でも文法や単語の確認は適宜入れていきました。これも時間の短縮を狙ったものです。
で、秋以降は本格的に二次試験の問題に取り組む計画を立てていました。そしてそれも実行に移します。
――が、ここで予測していなかった事態が起こります。単語力が決定的に足りなかったのです。急遽単語の暗記を追加します。これはかなり時間がかかりました。計画が一月半ほど遅延します(だからセンター後にようやく本格的なブレイクスルーなんですね)。
十二月の末頃からは英語に限らず全科目でセンター対策です。センターは選択問題ですから、二次試験の勉強ばかりやってると点が下がってしまうのです(逆もまた然り、です)。
そしてセンターが終われば二次対策へ。ここでセンター用に頭が切り替わっているので急いでやり直しです。もちろん全部忘れているわけではないので時間はかかりませんが、でも勘というのは半月もあれば相当鈍るものです。

以上が英語に関しての大まかな計画でしょうか。参考書名などは挙げていませんが、それは私の以前の記事をご覧いただくか、また自分で実際に本屋に足を運んで自分に合ったものを見つけて計画表に書きこんでください。
なお上では本当に大まかな内容で、簡略化もしています。実際にはもっと試行錯誤して、何冊も参考書を試しては切り捨てていってます。また(私が受験生だったときにはセンターにリスニングはありませんでしたが)、センター対策しながらもリスニングだけはやり続けてました。これは耳が鈍るのを防ぐためです。何せ急ごしらえのリスニング能力ですから、その後も持続するとは思えなかったのです。


さて以上がブレイクスルーの話や、私の勉強計画の話ですが、では各大学はどのあたりの成績を持っていればよいのでしょう?
大まかな目安ですがMARCHレベルだと一回のブレイクスルーで合格可能圏です。これは私の周囲の人や、私自身が受け持った受験生を見ていての感覚です。ブレイクスルーに至らなかった生徒はほぼ100%MARCHには合格していないです。
早慶では二回目のブレイクスルーが必須です。つまりMARCHと早慶は格が違うという話です。MARCHでほぼ満点取って合格できても早慶の合格ラインにはかすりすらしません。よく私の元にくる受験生で「早慶(あるいは東大)が第一志望で、MARCHくらいには何とか入りたい」と言ってくる生徒がいます。もう速攻で私はぼろくそに言います(生徒としてはつらいでしょうけどね)。MARCHを何とか合格のレベルで早慶の名前を出すな、って言い聞かせます。早慶を本気で狙うならMARCHは「滑り止め」としろと教えることにしてます。これは――ブレイクスルーしてもらわないといけないのですから、自分の立ち位置と志望校との距離をまず把握してもらわなきゃいけないのです(今回の記事の初めでもこれを見る人には少しそれを促させてもらいました)。
なお東大や京大、その他旧帝大や、一橋や東工大なんてのはどうでしょうか? ここは微妙なところですが、合格安全圏はブレイクスルー三回目です。東大に受かった友人が秋の終わり頃にこんなことを私に言いました。「今の学力でも早慶には受かれる自信があるけど、東大は全く自信がない。差がありすぎる」と。彼はその後猛勉強して早慶も東大も合格します。でもきっと彼もその猛勉強がなかったら東大はきつかったのではないでしょうか? よく早慶に受かる学力があれば東大も何とかなると思っている人がいるみたいです。確かに東大合格者の中には早慶レベルやときにはもっと下の人もいるみたいです。でも東大にはその後「進学振り分け制度」というのがあって、二年次の夏までの成績で行ける学部が決まります。そして80点以上は全体の3割までとかかなり厳しく制限が設けられているようです(そうしないと点数を甘くくれる先生ばかりに偏っちゃいますし、先生を選べない必修科目では運でその後の人生が左右されてしまいますからね)。大抵偶然で東大に受かった生徒はここまでの段階で消えていくみたいです。というか一年の終わりまで残っていられないそうです(私の高校から東大に入った一人はすぐにやめてしまったんだと、この前母校を訪れたときに聞きました)。ようは早慶と東大を同じランクで見てると痛い目見るよってことです。私自身も先に述べた友人と少し遅れて早慶と東大のあまりの大きな差に愕然としました。まずこの壁が見えてない人は、仮に東大に合格できてもその先は上手くいかないんでしょうね。就職するとかだけだったらまだしも、研究者として大学や一流企業に入りたいという希望は叶わないと思います(それに東大は就職の支援はほとんどしてくれないらしいですから。最近ちょっとだけ動き始めたと聞きましたけど)。


さてはて、今回の話を聞いて愕然としてくれた方。あなたはむしろ喜んでいいですよ? 愕然としているということは自分の立ち位置が多少なりともわかったということですから。あとは挫けずに努力できれば道は拓けます(ここが一番大変なんですけどね……)。
今回の話でなーんにも感じなかった方、あるいは「嘘だー」と思った方。申し訳ないですけど、一年後の結果で思い知ることになると思います。私が今まで見てきた受験生で、同じように考えて難関校に受かった人を(偶然受かっちゃったは除くと)一人も見たことないです。偶然受かれる人もいるにはいますが、本当に低確率だし、先にも言ったように(東大に限らず)大学入学後で落ちぶれます。素直に三流大学に志望を切り替えておくことを勧めます(三流大学の方が就職支援はしっかりしているので、就職率ほぼ100%というのがかなりありますから)。
まあ、厳しいことを言ってますけど、それが現実。そして現実といのは厳しいものなのです。それを受け止められた人が歩みを進められるのでしょうね。
とかく私は受験生を応援しますよ。何してもやる気を出してくれない人は――お手上げですが(苦笑)
by zattoukoneko | 2010-04-02 07:21 | 受験関係 | Comments(16)
Commented at 2014-07-30 22:58 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by zattoukoneko at 2014-08-03 19:04
非公開のコメントでブレイクスルーの起爆剤についてご質問があったのでお答えします。

まず言っておかなければならないのは、量をこなすことが絶対です。
ブレイクスルーは英会話の分野で盛んに言われ始めたことで受験業界にも広まった概念ですが、その英会話の教材を見ると毎月雑誌が刊行されているのがわかる。もし「ここに注意すればブレイクスルーが起こってすぐさま聞き取りが出来るようになる!」なんていうのがわかっていたら、それを扱った書籍やCDを一冊作るだけで十分なはず。そうではなく、毎月新しい教材を用意しなければならない状況にあるということは、ブレイクスルーの起爆剤なんて(わかって)ないと暗に言っているようなものだとわかるかと思います。
受験の話に戻り、私の感覚で「量」について言及すれば、一度目のブレイクスルーは自分の身長です。全教科ごちゃ混ぜにし、教科書や先輩から譲ってもらったノートすら足してOKとし、読み解いた参考書を床から積み上げて自分の身長に到達するくらいのときにブレイクスルーは起こるという印象があります。
(続く)
Commented by zattoukoneko at 2014-08-03 19:04
そもそもブレイクスルーの仕組みすらわかっていませんし、それをどうやったら起こせるのかについては言わずもがなです。
そうではあっても、私はある程度ならば、意識することでブレイクスルーの発生を促進することが出来ると考えていて、そのために重要なのが「分野をまたがる理解」だと思っています。「全体の理解」については記事中でも述べています。
分野をまたがるためには何を意識すればよいか――実はこれを見つけ出すことこそがブレイクスルーの鍵なのだと思います。そして、実のところ、その鍵は人によって千差万別なのだと推測しています。鍵が違うのだからブレイクスルーのきっかけや時期だって人によって違うし、参考書だってまとまらないのだと思っています。
まずは鍵を探すこと。そして鍵を持ちながらあらゆる領域を散策すること。これによってすべての領域を繋ぎ合わせ、全体的な理解に到達し、ブレイクスルーは発生するというのが私の考えというわけです。
(続く)
Commented by zattoukoneko at 2014-08-03 19:04
と、小難しく抽象的な話をしたところで、やはり私個人の事例を挙げておいた方がいいと思います。
化学に関しては、最初は単位に注目することから始めました。理論分野の計算問題に限れば、内容がわかってなくても、左辺と右辺の単位が合わさるように掛け算と割り算で与えられた数字をパズルのように組み合わせるだけで解けてしまうことに気付きました。理論化学も細かく分野が分かれていますが、これに注目すれば理解するきっかけになるとしておけば、どれだって同じようなものです。
続けて、単位の細かい意味だとか、計算で用いられる理由に注目していきました。凝固点降下について計算するときは、モル濃度ではなく質量モル濃度を使います。それは何故か、といった具合です。
(続く)
Commented by zattoukoneko at 2014-08-03 19:05
そのように単位だけで化学を理解し、問題を解いていくのですが、それだけでは説明できないことも出てきます。金属結晶は何故ああなっているのかとか(計算は出来るのだけれど意味はわかっていなかったということ)、さらに言えば無機や有機の分野に入ると単位を合わせる計算なんてほとんど出てこない。じゃあ今度はどこに共通する鍵を見つけるか、となったとき、私は軌道に注目した。混成軌道とか、理論にも無機にも有機にも書いてあったから。
そしてそれに基づいて何度も、いくつもの参考書を読み解くことで、自然と成績は伸びた。ここのところがブレイクスルーだったのだと私は思っています。最初の単位への注目も飛躍的な成績の伸びにはなったかもしれませんが、強いて言うなら小スルーって感じだと思います。
(続く)
Commented by zattoukoneko at 2014-08-03 19:05
このようなことで、回答になっていますでしょうか?
私から言えることは、ブレイクスルーの起爆剤なんてないし、あったとしても見つけられるようなものではない。何せ学ぶべき範囲は広大なのだから。
出来ることは、その起爆剤に触れたときに、それを爆発させられるマッチの火を持つことくらい。
だからまずはどこでも拾えるようなマッチを探し出し、それを持って学問の世界をうろついてみてはどうでしょうか、ということになります。
(終)
Commented at 2016-02-02 23:52 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by zattoukoneko at 2016-02-03 18:33
非公開コメントでお褒めの言葉をいただきました。
ありがとうございます。

受験時の体験だけでなく、塾講師として教えた経験も活かしながら書いたつもりです。
ブレイクスルーを経験できる生徒さんが、一人でも多くなれば幸いです。
Commented at 2016-07-31 21:32 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by zattoukoneko at 2016-08-01 03:46
非公開コメントにて保護者の方から受験生のお子さんについてご相談受けました。
内容出さずに返信書くこと難しいので要約ですが、模試にてお子さんがどういうわけか成績が不振だったとのこと。

さていただいたご質問についてですが、ごめんなさい、お答えすることが難しいです。
というのは、私はお子さんを指導しているわけではないので、今回の成績不振の原因について考える材料がないからです。
以下では、「いきなり点が取れなくなった!」と訴える生徒さんの典型例について、思い付くものを書いてみます。当てはまらない可能性も高いので、あくまで参考までに……。
(文字数制限の関係で、分割します)
Commented by zattoukoneko at 2016-08-01 03:47
1.まさに勉強法が間違っていた
悲しいことに、受験生に最も多い事例です。特にある程度の進学校に通っていらっしゃる生徒さんが見舞われることが多いものです。
これは、もっぱら「中学受験のやり方のまま高得点が取れていた」という場合に起こります。ざっくりと言ってしまえば、暗記ばかりが得意で、学問の本質を理解する努力をしていなかったためにこのようなことになります。
中学の頃辺りから、学校の指導要綱というのは「学問とは何か、論理性とは何か」ということを教えていきます。しかしそれを直接教えるわけではなく、方程式、みたいな具体例を使って教えることにしています。
しかし中学受験などをしている優秀なお子さんは、それまでにやっていた「面積で求める」「天秤で求める」というようなテクニックだけで十分点数は稼げてしまうため、学問の本質を見抜くことをしないまま高校生になることが非常に多いのです。
MARCHくらいならテクニックだけでもなんとかなり得ますが、それ以上の難関校だとまさに学問の本質が身についているのかを問うてきます。そして高3の夏頃から、難関模試もそれに合わせてきます。そのため解き方もわからず、点数も急降下し、焦って塾探しをする生徒さんが出てくる時期でもあるのです。
もしこれに当てはまる場合、残り半年では方向修正はかなり厳しいです。「これまでできてたのに!」というプライドが生徒さんにはありますから、それを全否定するような上記の内容は受け入れがたく感じてしまうようなのです。ですので、受験校のランクの方を下げることも、講師や保護者の方は考える必要があります。
Commented by zattoukoneko at 2016-08-01 03:48
2.マニアックな教材を使いすぎている
これも時々聞く話です。特に「大学への数学」で起こることで有名です。
「大学への数学」は言わずと知れた高校数学の最高峰ですが、その問題は学問の本質にいき「すぎて」いるために、解法が大学の受験の実情から乖離してしまっていることがあるのです。
先の1.とは真逆のことを言うようですが、受験はあくまで受験です。点を取るゲームのようなものであって、傾向分析やテクニックがものをいう世界です。それを蔑ろにして学問の本髄に触れることばかりしていたのでは、結局受験に失敗してしまいます。
今回の模試が大学別のものであったのなら、この可能性を考えてみるのがよいかもしれません。そして大学の出題傾向を探り、それに特化した勉強法をとるのがよいでしょう。
「受験の英作文は、文法やリスニングがどんなにできても書けるようにはならない」を意識するべきです。
(あるいは、この時期ということはセンター模試だったでしょうか? だとしたら今からセンター対策に明け暮れるのは馬鹿らしいです。センターはまさにテクニックがものをいう試験ですが、それに自身をあわせるのは1~2ヶ月あれば大丈夫と思います。お子さんに自己分析をさせ、能力と勉強状況から「ここからはセンター専念!」というスケジュールを立てるのがよいと思います)
Commented by zattoukoneko at 2016-08-01 03:48
3.精神的にやられてしまった
数は多くないものの、自分では気付きにくく対処も難しいため、深刻な問題として浮上することがあります。
まず、今回の模試をお子さんに解き直してもらいましょう。自身でも「あれれ?」と思うくらいにあっけなく解けたとするなら、これに当てはまる可能性があります。
受験生は、どうしたって精神的プレッシャーがかかります。それが計算速度や頭の回転に影響を与えることがあります。そのため、プレッシャーがあまり感じられない日常の環境で解き直すと、あっけなく解けるというわけです。
理屈は単純なのですが、これに自分で気付けない生徒さんはかなりいます。うつ病の方が自分がうつとは気付けないのとまったく同じです。能力が落ちていても、いつも通りでも、一所懸命に取り組んでいるのは同じだからです。
これへの対策は、慣れしかありません。模試をたくさん受け、本番を模試と思えるようにしておくことです。会場の下見、試験前には勉強をやめる、いっそのこと漫画本を持っていく、試験中は音楽を脳内リピートする、などによって改善するかもしれません。
なお私は本番前の生徒さんには「一度きりだから試験楽しんできてね。現代文とか超楽しいよ! 落ちたら二度あるけど、そのときは楽しいが2倍になるだけさ!」などと言うようにしてます。「落ちる滑るは禁句」とは言いますが、私の言葉を笑って聞ける生徒さんはやっぱり本番強いです。周囲がぎくしゃくするのも、受験生にはプレッシャーとなりますので。
Commented by zattoukoneko at 2016-08-01 03:49
4.相対的に成績が落ちている?
コメントの内容からすると、点数が落ちた、ということだろうとは思いますので、これの可能性は低いとは思いますが念のため。
高3の模試と高2までの模試では大きな違いがあります。それは、浪人生も受けている、ということです。1年の時間差があり、実際に受験本番もしている彼ら彼女らは、どうしたって現役生より成績が上になります。そのため「偏差値」は下がって当然なのです。
これに不安を覚える現役生は多いですが、秋冬になると浪人生は伸び悩むので、勝手に偏差値は上がっていきます。一時的なものなので、この場合には自分のペースを崩されないようにすることが大事です。
つまり、成績が下がったからといって今までの勉強法を急には変えないこと、秋冬に成績が上がったからといって慢心しないこと。偏差値の変化は自然の摂理であって自分の努力ではない、と思っておくことが大事です。
Commented by zattoukoneko at 2016-08-01 03:51
ほかにも、模試との相性が悪かった、とか、夏の時期だとまだ全体の勉強は終わってないでしょうから知識不足の分野があった、なども考えられます。ただここまでくると生徒さんの状況次第なので、それを把握してない私にはコメントのしようがありません……。
最後に、「今回の成績不振はブレイクスルーの前兆か?」という質問もありましたので、それについて。
厳しいことを言うことになりますが、それはあり得ません。グラフで描いていますが、成績の急激な伸びの前には「停滞」はありますが、「下降」はないからです。ブレイクスルーとは突如視界が開けたかのように理解が深まる体験のことをいいます。その直前に理解が低下する道理はないのです。
ですから、成績が落ちたのだとすれば、何らかのよくない理由があると考えたほうがいいでしょう。

まとめます。
まず、お子さんに成績不振の理由について思い至ることはないでしょうか? 自発的に時間を絞っていた、その日はお腹が痛かった、何でもいいです。「だから当然点数は落ちる」とお子さんが言えないのなら、次のステップです。
リラックスした状況で解き直しをさせてあげてください。このとき時間も細かく計ること。模試当日より各問ごとの解答時間が(二度目のチャレンジということを抜いても)極端に短くなっていたら、3.の理由かもしれません。
次に、出題傾向の分析をさせてください。模試であれば、解説にテクニックについて紹介があることでしょう。それを見たときに「ああ、そうか、これだったのか!」とお子さんが思えれば、2.の理由ではないかと思います。夏だとまだ勉強したりない範囲があるでしょうから、いつまで理解を深める勉強するか、いつからセンター・大学本番に体を慣れさせるのか、スケジュールを組んでもらうことになります。そして模試はどう使うのか、体が慣れていないのだから点数は悪くて当然と割り切れるのか、といったところまで踏み込めるとさらによいです。
上の解説のデクニックを見たとき、「何これ、知らない……」(あるいはそもそもテクニックが書いてあるところを見つけられない)となったら、危ういです。1.の理由かもしれません。この場合は急いで方針転換をする必要があります。勉強法はもちろんのこと、塾を変えるとか、志望校すら変えたほうがいいことすらあります。
Commented by zattoukoneko at 2016-08-01 03:51
この夏の時期は、受験生も保護者の方も、心配が大きくなる時期とは思います。ですが、どうか冷静に理由を分析されることを願います。「期待すること」と「支えること」はまったくの別物です。期待によって欠点が見落とされるというのが、一番の悲劇となります。
受験生においても、保護者の方におかれましても、受験というのはともに成長できる貴重な時間です。楽しく、有意義な時間を過ごされますようお祈り申し上げます。


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