チュアブル3rd『Sugar+Spice!』紹介

ようやく折り返しました。チュアブルソフトによる第3作目、『Sugar+Spice!』(以下ssと略記)の紹介です。
毎度のことですが画像はチュアブル様より利用の許可をいただいています。無断転載なんかしちゃダメですよー。(というかこの表記が許可の証でもあったりします)

さてまずは基本情報でしょうねえ。
発売は2007年の9月28日ですかね。ここからDVDになりました。パッケージの絵は次の感じ。
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で、注目すべきは小物です。そこかしこにお菓子やら何やらちりばめられています。これは各キャラをイメージしたもので、歌だったらロリポップ、夢路だったら折り紙の鶴、見たいな感じで決まってます。こういう細かいこだわりは見てるだけで楽しいですし、キャラの印象付けにもなっていて素晴らしいですよね。
で、ちょっと先走ってしまいましたがメインキャラの紹介。
今回は春瀬歌(はるせうた、あだ名:ハモ)、南条寺夢路(なんじょうじゆめじ、ジジ)、足利はねる(あしかがはねる、ピョン)、深山藍衣(みやまあい、ミャンマー)、早乙女司(さおとめつかさ、オトメ)の5名です。(各キャラきちんと制服が違うのでここも注目です!)
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ちなみに上の画像で一部切れてる感じがするのはネタバレを防ぐために私が編集しました。(魅力が消されてる!、とか怒らないでくださいね? 私は普段キーボードばかりしか触ってないし、画像の編集なんて滅多にやらない素人ですから)
ついでにこの作品から(DVDに移行したから?)服装とか立ち絵とかやたらと多くなった気がします。数えてないから正確なところはわからないですけど。次に歌に代表してもらって何パターンか服装とか表情とか変えてもらいましょう。
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ちなみにこれはチュアブルさんがHP上で公開しているスピンアウトという機能を使わせてもらいました。これについては後述します。


さてはてssの見どころ(というかチュアブルさんの大きな転換)はシステム面です。ssでは次の3点が大きな特徴。
①好きになったら告白!システム
②個別エピソードの選択
③オトメカイセキ
です。

①について。
まず既存のADVと違って話をただ進めていくだけだと誰とも恋人にはなれません。自分から告白をしていき、そして……玉砕するわけです(笑)
いや、高感度を上げればきちんとOKもらえるのですが、私は最初やったときはとりあえずどんなもんかといきなり告白して当たり前のように振られましたw
告白の仕方は公式HPをご覧ください。次に一応画像出しておきますけど、ダウンロードのページに「告ってシュガスパ!」というFlashがあるのでそっちで実際に動くのを見た方がわかりやすいですね。
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なお恋人になる時期によっては②の個別エピソードが変わります。

②について。
今回は『あまなつ』までと違ってストーリーがあらかじめ決められているのではなく(軸のメインストーリーは固定ですが)、自分でショートストーリーを選んでいく形になっています。これによって高感度を上げたり、③のオトメカイセキというのを進めます。
マップは最初は次みたいな感じになってます。全部エピソードが灰色。これを別個に選んでいく形で話を進めます。
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ちなみにこのとき選んだエピソードのよって後々出たり消えたりするエピソードが多数。ゲーム性は『あまなつ』から比べて格段に上がりました。

次に③について。
オトメカイセキは名前の通りですけど、②で紹介した個別エピソードを見ていくことによって、および各ヒロインを攻略することでその女の子について、どういう子ってことが円グラフで表示されていきます(上のキャラ紹介の画像で編集して消したのは主にその部分でした)。
最初の方は次みたいな感じで何にもないです。
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ちょっとセーブデータを無理矢理動かしてほとんど初期化したので、実際にプレイするとこれを見る頃にはもっと埋まっているはずですけどね。

最後に他のシステム面。
TBLET名義で『きのこまち』というゲームが出ていますが、ここで色々と試された演出がssでは複数盛り込まれました。
その中でも印象的なのがバックでキャラが勝手にしゃべっているというやつ。
大抵のADVであればメッセージウインドウに表示されている音声しか流れないものですが、今作ではそれとは別に背後で誰かがしゃべっていることがあります。しかもこれはウインドウによる制限がないので各キャラが実際に掛け合いをやったりします。つまりあるキャラの言葉を他のキャラが遮ったりするということ。これによって臨場感が出て、奥行きもすごい広がったものになっています。最初これやられたときはびっくりしました(そして私はオートでメッセージを流していたために途中でこの音声が切れましたorz)。


さてはてストーリーに触れましょう。
まずは毎度のごとくですが、主人公は今回もあるものを喪失しています。名前は新木和真(あらきかずま)で、なくしたものは単純明快。ずばり記憶です。ようは記憶喪失ってやつです。
正直『なんて安直な……』と思いました。が、私同様そう思った方は配信されている無料体験版の1月篇をやってみてください。下手な作り手とは違ってきちんと説得力を持たせることをしています。ここら辺の取材力はチュアブルさんのずば抜けている部分ですね(これについては次回の『恋文ロマンチカ』の紹介のときにもう一度触れます)。
なお私はプレイ前には少々不安でした(体験版の1月篇で多少解消されたとはいえ)。というのはエピソードを自分で選んでいく形式にしたということは、メインのストーリーに割く割合が減るということです。それで軸は本当に大丈夫なのか?、と。
まあ、プレイしてみればこれはきちんと裏切ってくれました。メインストーリーはしっかりとしていますし、個別のエピソードは独立したものとしてきちんと楽しいですし。ここはしっかりとチュアブルさんが意地を見せたところだと私は思います。
けれど実際問題としてやはりメインストーリーに割かれる割合は減っているわけで、それだけ一番の骨格部分はやはり短くなっていました。また主人公の喪失しているもの(今回は記憶)の埋め合わせも解消不足(というか途中の承と転の間のような部分である程度解決させちゃいます)。ヒロインによってはこれに関してもっと踏み込む話へと展開しますが、ストーリーを一番重視する身としてはこれはちょっと減点対象です。(まあ個別のショートストーリーが面白いですし、ゲーム性も鑑みれば十分補われますが。この辺はプレイヤーの好みでしょうねえ)
なお前段落でちょいと触れましたが、主人公の喪失した記憶の裏にはそれなりの背景があります。『あまなつ』で触れたように喪失の部分にかなりの厚みが増されているというわけですね。これはチュアブルさんの『あまなつ』以降の特徴。


さてはてそろそろラストスパート!
この作品より製品にシリアルコードが導入されました。このコードにより修正パッチなどのサポートを受けることができます(現在は解除)。これは商業面に関して言えば自分たちの権利を守るものです。当然のことながら商売としてゲームをつくっているわけですから、それを勝手に無料配布されたり中古販売されると困るわけです。これに関しては任天堂がファミリーコンピューターを発売するときにパスを導入したことや、その後も各メーカーによる中古販売に関する訴訟などが起こされてきているのでチュアブルさんが何も特別なことをやったわけではないです。
ですが残念ながら当初猛反発を受けて掲示板が半ば炎上しちゃいました。「中古で買った人間はどうするんだよ!」とか書かれてましたっけ?
でも売り手や普通に新品で買ったユーザーには「何言ってるんだ?」というのが正直な感想かと。中古ならまだいいのですけれど、ネット上で流されたようなものまで普通サポートできないですよ、仕事なんですから相手は。
ただこういう意見が出てきてしまうのにはいくつか理由が考えられます。(後々コンピュータゲームの歴史にでも触れた記事を書くかもしれませんが)昔はパソコンで使うソフトは無料で配布されるものという暗黙のルールがありました。これはコンピュータに当初興味を示した多くの人たちがアマチュア無線家だったことと関係がありそうです(なお日本で最初にコンピュータゲームを売り出したのはハドソンですが、元々はアマチュア無線機器を売っていました)。無線は受信するのは無料ですからね。また日本は本やゲーム、そしてことさら映像作品に関してお金を払わない国です(現在は少々買い手の財布のひもが緩んできたようですが)。なのでレンタルとか中古販売とかが他国よりもずっと繁盛しています。またネット上での著作権に関しては実はいまだに専門家でも議論途中です。できるだけ保護する方向で進みつつありますが、HPやYouTubeのようにどんどん素人が著作権を無視して配信できるものが乱立していくネット社会では取り締まりが難しい。そのため勝手にソフトなんかを流しちゃう人が出てきてしまう。そしてお金を払いたくない昔ながらの日本人はそれを利用してしまうという構図になってきつつあるようです。
何にせよこれに悩んでいるのはチュアブルさんだけではなく他のメーカーさんや映像会社なども同じことです。全部摘発していくだけの人的資源に乏しいチュアブルさんはシリアルコードを導入したということになります。
ですけどチュアブルさんは優しくて(というか優しすぎて)、このシリアルコードを導入することで反発も出てくることを考えてか、持っている人への特典も設けてくれました。一番大きいのは演出の強化を施すパッチの配布(バグの修正だけならコード不要にしてくれちゃいました)、あとはChuable soft Fan Club(CFC)への登録およびCFC会員への特典の用意。あとはコードの印刷されたカードを持ってくとイベントなんかでおまけをもらえることですか。あ、新作の声優オーディションへの参加もありました。……いやあ、特典用意しすぎですよ?

さてとりあえずこうしてシリアルコードの導入とCFCの発足がこの作品でなされたのがこの作品からです。購入する人はできるだけ新品で買いましょう。


なおssでは「スピンアウト!」という企画がつくられました。これはCFC会員によるオリジナルエピソードがつくれるというもので、イベントCGが使えないとか声が入らないという点を除けば、かなり原作と近いショートエピソードをつくることができます。閲覧はCFC会員でなくても可能です(ただしネタばれは普通に入っているので見る人はプレイ後にした方がいいと思います)。これは現在公式HPの右側にリンクが張られていたはずです。
ちなみに私自身も2作公開してます。他の人がつくったキャラクター・世界観で物語をつくるのって初めてやりました。しかも絵と音つき。めちゃくちゃ苦戦した記憶があります。でも今見てみると……まあまあ面白いかな? 自画自賛ですか、これ(苦笑) けど『ああ確かに雑踏子猫の作品だ』と思いました。人から借りたものでも独自性って出るもんですねえ。(ちなみに作品名は『一沙と夢路が!?』と『鏡の中のはねる』です。ま、電撃経由とかで私の著作を気に入ってくれた人はわりと好きになってくれるかもしれません)

あ、最後に。サブキャラの人気がやたらと高かったのもこの作品の特徴ですね。
多分一番人気はこのキャラ。
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当然こんなセリフ劇中にないですw 私が勝手にスピンアウトを利用してつくりました。怒らないでくださいね(汗)


さてラストと言っておきながらまだ続ける心。
上で紹介したssは人気を博しまして、ファンディスクが発売されました。
2008年の5月23日発売の『Sugar+Spice!Party☆Party』(以下sspp)です。
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このssppは――えっとファンディスクです。これ以上適切な表現が思いつかない……。
内容は各ヒロインのおまけの話と人気の高かったサブヒロインの深山彩弥(みやまあや)、本見倫(ほんみりん)のエピソードが収録されたもの。あとはミニゲームの類ですね。
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ただ話としてはとても短いですし、主人公の喪失とも関係ないので、だから「ファンディスク」です。ssをやって気に入った方は購入すればよいかと。


さーて、長くなりました。もう終わります。
さて、今回紹介したssの目玉は「告白」です。プレイしたことある方はコメント欄にて告白しちゃってくださいな。ここではゲームの制限がないので誰にでも告白できますよー。
(さあ作成者の特権として一番手を取りましょうか)
チュアブルソフト公式WEB
Commented by zattoukoneko at 2010-03-10 17:19
一沙ー!! 好きだー!!!!!
よし!、大きな一手を制した!
Commented by 與華 at 2010-03-11 00:14 x
えっと、告白するのは別に好きな「娘」じゃなくてもいいんですよね?
それじゃあ……

高島先生好きです!!
あなたのその「君はバカだな」を言うときの顔がたまらない!

……えっとぉ、早く幸せになってくださいね、高島さん。
CFCより與華でした。
Commented by さたんまりあ at 2010-03-11 16:03 x
ふ、ふふ、ふふふ…一番手をとったつもりでいるようだが……
私はすでにPure×Cureの時にすませている!!!残念だったなっっ!!
と、いうわけで……

彩弥ねぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっ!!!!!好きだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!結婚してくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!

……ふぅ、(汗を拭う
これで思い残す事はない…(いい笑顔で

では、CFCより失礼しました。
Commented by zattoukoneko at 2010-03-11 17:38
やっぱりサブが人気w
じゃああえて私はもう一度。

イシダさん、好きだー!
メルマガとか超楽しみにしてるよ! まじ仕事がんばってください!!
そして……正月にイシダさんの画像を見れなかったのがいまだに悔やまれるorz

いや、誰かメインヒロインに告白してください(笑)
Commented by zattoukoneko at 2010-03-17 13:50
「スピンアウト!」で新作公開しました。
タイトルは「司のなくした大切なもの」で、もちろんメインは早乙女司です。
んー、でも全体をワードで書いてからこのくらいの分量だとあたりをつけたのがよくなかったかもしれません。
ショートエピソードだからと6800字程度に絞って(しかも他のメインヒロインすら削って)書いたんですけど、画面上のウインドウで短い文章が流されると速読できちゃうんですねえ。倍はあっても良かったかも(でもその量でもメインヒロインをほとんど入れられない構成だったんですが)。
まあ、多分つまらなくはない(と思いたい)ので興味のある方はぜひm(_ _)m
Commented by zattoukoneko at 2010-03-19 06:35
司のエピソードについて。
ありがたいことにご好評のようで、かなりの方に見ていただいております。
まさか公開からたったの二日でその前の月曜から集計されているはねるの話を超えるとは思わなかった(苦笑)
そしてこのペースだと夢路と一沙のコンビすら危ういw

で、今回のコメントはそんな閲覧者数自慢が目的ではないです。
公開した後私自身が見直し、修正を施しました。
最初は三人称でアップしましたが、一人称の方が感情移入しやすいと考え視点を統一しました。
それに合わせて加筆を行い、そして減筆もしました。最終的に1,000字ほど増えたようです。
また演出の面も変えていきました。ウインドウの表示に合わせて文章を分割したり、一部は繋げました。流れる音楽やタイミングも調整。
出てきていなかったメインヒロインも一瞬ですけど登場させました。
以前のバージョンで閲覧された方は(特に不満に感じられた方は)あらためてご覧ください。
話の筋は変わっていませんが、良くはなったと自負しております。
Commented by zattoukoneko at 2010-03-19 06:37
司のエピソードについて(続き)

ちなみに――メインヒロインとは当初きちんと絡む予定でした。
ですがプロット(というかこの文字数ならほとんど完成稿)を書いている途中で、このままだとあまりに重い話になると思って自粛しました。
私の作品ではあるものの、掲載されるのはチュアブルさんのHPですので、「Medicine」になることを心がけました。
一応元々の案でも最終的には「Medicine」になったはずですが、書き込まなくてはならないことが多くて、自然と途中が長くなりますし、その間司にとてつもなくつらい思いをさせなくてはならず、読み手も途中で投げ出すかもしれないと考えたのです。
最後は「Medicine」でも、途中見る人を痛めつけてどうする、という判断でした。それって良い薬ではないな、と感じました。
あまり他のキャラと絡んでくれませんが、そこは上記の理由があったのだと、掛け合いが好きな方にはご理解いただけると助かります。
Commented by zattoukoneko at 2010-03-29 18:58
歌のエピソード追加、です。
タイトルは『歌にさよならを』で、最初に残っていた三人のキャラに案を出していったときに出てきた案の一つです。
ただ話が重くなるし、とても長くなりそうなので司を先にやって、ちょっと放置してました。
ただ話を短くして、情報を最小限にとどめればうまくいく気がしたので、容量を3分の1ほどに。大体いつも通りの10分くらいの長さになりました。
なお今回は選択肢によってBAD ENDありにしました。たまには見る人の読解力を試してもいいかなーなんて思ったのでw
Commented by zattoukoneko at 2010-04-03 14:54
藍衣のエピソードも追加。
タイトルは『藍衣にとっての愛の置き場所』
これでメインヒロイン全員分きちんとつくって上げた感じですかね。
そして――今回見事に選択肢を入れ損ねたorz
by zattoukoneko | 2010-03-10 17:18 | ゲーム | Comments(9)